副腎外褐色細胞腫術後に左室流出路狭窄ならびに左室肥大所見が速やかに改善した1例

Systolic anterior motion(SAM)を伴う左室肥大所見を認め, 副腎外褐色細胞腫術後それらの所見が速やかに改善した1例を経験したので報告する. 患者は24歳の女性で, 頭痛, 動悸を主訴として当院外来を受診, 高血圧(血圧220/130mmHg)を指摘されて入院となった. カテコールアミン3分画で血漿ノ ルアドレナリン17534pg/ml, 尿中ノルアドレナリン3251.5μg/dayとノルアドレナリンのみが異常高値を示していた. 腹部CTで大動脈の右側に腫瘤を認め, 同部位に123I-MIBGの集積を認めたことから副腎外褐色細胞腫と診断し, 腫瘍摘出術を行った. 術前の...

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Published in心臓 Vol. 33; no. 11; pp. 850 - 855
Main Authors 平松茂樹, 前川清明, 早川信彦, 飛岡徹, 西田典数, 高垣健二, 富田純子, 正路浩土郎, 岡崎守宏, 内藤稔, 名和清人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.11.2001
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ISSN0586-4488

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Summary:Systolic anterior motion(SAM)を伴う左室肥大所見を認め, 副腎外褐色細胞腫術後それらの所見が速やかに改善した1例を経験したので報告する. 患者は24歳の女性で, 頭痛, 動悸を主訴として当院外来を受診, 高血圧(血圧220/130mmHg)を指摘されて入院となった. カテコールアミン3分画で血漿ノ ルアドレナリン17534pg/ml, 尿中ノルアドレナリン3251.5μg/dayとノルアドレナリンのみが異常高値を示していた. 腹部CTで大動脈の右側に腫瘤を認め, 同部位に123I-MIBGの集積を認めたことから副腎外褐色細胞腫と診断し, 腫瘍摘出術を行った. 術前の心エコーのMモード僧帽弁エコーでSAMを認めた. 左室は全周性に肥大(心室中隔径/左室後壁径=13/13mm)し, 左室内腔は狭小化していた. 術後12日目に心エコーを再検したところSAMは認めず, 左室肥大所見も消失していた(心室中隔径/左室後壁径:8/9mm). 術後ノルアドレナリン0.3μg/min/kgを持続静注して心エコーを記録したが, SAMや流出路狭窄は出現しなかった. 本症例のSAMの成因として1)カテコールアミンの作用, 2)左室肥大による腱索のたわみの両者が関与していると考えられた.
ISSN:0586-4488