血小板輸血患者での血小板抗体の特異性について

目的:近年白血病を中心とする諸血液疾患に血小板輸血は必須の補助的治療法となっている. 従って血小板輸血の需要は著しく増大し1980年の日赤の統計では全血を含めた全製剤に占める濃縮血小板製剤の割合は全国平均で約10%, 中央血液センターで25%であった. 当院では40%を占めるに至っている. しかしながら繰返し血小板輸血を受けている患者では次第に血小板輸注効果が期待しえなくなり患者血中に同種血小板抗体が証明される例が多い. 赤血球に対す同種抗体が産生される頻度は遠山らの報告では約1%であるのに比して, 血小板輸血での血小板に対する同種抗体の産生される頻度は坂本らの報告の如く輸血回数が30回を越え...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 73 - 75
Main Authors 柴田洋一, 西沢八恵子, 柴原邦子, 金信子, 前田平生, 遠山博, 十字猛夫, 坂本久浩, 田村三枝子, 小林容子, 村田愿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1983
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:目的:近年白血病を中心とする諸血液疾患に血小板輸血は必須の補助的治療法となっている. 従って血小板輸血の需要は著しく増大し1980年の日赤の統計では全血を含めた全製剤に占める濃縮血小板製剤の割合は全国平均で約10%, 中央血液センターで25%であった. 当院では40%を占めるに至っている. しかしながら繰返し血小板輸血を受けている患者では次第に血小板輸注効果が期待しえなくなり患者血中に同種血小板抗体が証明される例が多い. 赤血球に対す同種抗体が産生される頻度は遠山らの報告では約1%であるのに比して, 血小板輸血での血小板に対する同種抗体の産生される頻度は坂本らの報告の如く輸血回数が30回を越えると50%以上になっている. 従って適合血小板輸血を実施するためには大きな問題が生じることが容易に予想される. 今回, 我々はこれらの血小板抗体の特異性を調べるために駒込病院輸血科と共同で110人の白血病を中心とする血小板減少患者の約800血清について検索を試み若干の知見を得た.
ISSN:0546-1448