長期経過した幼少期植込み心外膜リード感染の1例

症例は59歳男性. 3歳, 11歳時にFallot四徴症に対して他院で手術を施行された. 詳細は不明であるが, 心外膜リードを縫着された. 現在は心外膜リードは使用せず, 洞不全症候群に対して右前胸部に植込まれたペースメーカの経静脈リードでペーシングしている. 27歳時に心外膜リードが植込まれていた左前胸部からの排膿を認め, 他院で可及的にリードを切断し, 姑息的治療が繰り返し行われていた. 排膿は徐々に少なくなってきたため, 5年前から自己判断で通院はしていなかった. 今回左前胸部からの排膿量が多くなってきたことを主訴に, 当院を受診し, 心外膜リード感染に対する手術目的に入院となった. 膿...

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Published in心電図 Vol. 44; no. 4; pp. 260 - 265
Main Authors 岡田修一, 星野丈二, 内藤滋人, 江連雅彦, 長谷川豊, 山田靖之, 中村紘規, 佐々木健人, 森下寛之, 関雅浩, 田村重樹, 早田隆司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本不整脈心電学会 20.12.2024
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ISSN0285-1660

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Summary:症例は59歳男性. 3歳, 11歳時にFallot四徴症に対して他院で手術を施行された. 詳細は不明であるが, 心外膜リードを縫着された. 現在は心外膜リードは使用せず, 洞不全症候群に対して右前胸部に植込まれたペースメーカの経静脈リードでペーシングしている. 27歳時に心外膜リードが植込まれていた左前胸部からの排膿を認め, 他院で可及的にリードを切断し, 姑息的治療が繰り返し行われていた. 排膿は徐々に少なくなってきたため, 5年前から自己判断で通院はしていなかった. 今回左前胸部からの排膿量が多くなってきたことを主訴に, 当院を受診し, 心外膜リード感染に対する手術目的に入院となった. 膿の培養ではStaphylococcus aureusが検出された. 右半側臥位, 分離換気, 全身麻酔下に手術を行った. 第6肋間開胸で胸腔内に到達し, 膿瘍の中心となっている心尖部周囲の不良肉芽を除去し, リードを切断後に電極を反時計方向に回転しスクリューアウトして除去した. 充分にデブリドメントと洗浄を行ったのちに, ドレーンを留置して閉胸した. 胸腔ドレーンは術後10日目に抜去した. 抗菌薬はセフェム系抗菌薬静注を術後14日間投与し, その後は内服薬にして, 術後18日目に軽快退院となった. 術後37日目に右前胸部のペースメーカの電池交換を施行した. 感染の再燃を認めずに経過している.
ISSN:0285-1660