(I-3-5)嚥下時における舌,軟口蓋協調運動の検討-口蓋帆挙筋,口蓋舌筋活動とVF画像の同期解析
【目的】随意運動である口腔相から不随意運動である咽頭相への移行段階は, 舌と軟口蓋が相互に関連しつつ食塊を送り込む複雑な運動であり, この段階での障害により誤嚥症状が生じることが報告されている. 演者らは, 水分嚥下時の口腔相から咽頭相への移行段階での舌, 軟口蓋運動の調節が至適嚥下量に基づいて調節されていることを口蓋帆挙筋と口蓋舌筋の筋活動を指標にして明らかにした. しかしながら, 各筋の活動が口腔相から咽頭相への移行段階での舌, 軟口蓋運動の時系列変化とどのように関係するのかは明らかになっていない. 今回, 水分嚥下時に同時に採取した口蓋帆挙筋, 口蓋舌筋筋電図とVF画像の時系列的解析を行...
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| Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; p. 309 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
31.12.2006
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| ISSN | 1343-8441 |
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| Summary: | 【目的】随意運動である口腔相から不随意運動である咽頭相への移行段階は, 舌と軟口蓋が相互に関連しつつ食塊を送り込む複雑な運動であり, この段階での障害により誤嚥症状が生じることが報告されている. 演者らは, 水分嚥下時の口腔相から咽頭相への移行段階での舌, 軟口蓋運動の調節が至適嚥下量に基づいて調節されていることを口蓋帆挙筋と口蓋舌筋の筋活動を指標にして明らかにした. しかしながら, 各筋の活動が口腔相から咽頭相への移行段階での舌, 軟口蓋運動の時系列変化とどのように関係するのかは明らかになっていない. 今回, 水分嚥下時に同時に採取した口蓋帆挙筋, 口蓋舌筋筋電図とVF画像の時系列的解析を行なった. 【方法】至適嚥下量に基づき算出した量のお茶を嚥下させ, VF及び口蓋帆挙筋, 口蓋舌筋筋電図を採取した. 筋活動は舘村らの方法に準じて採取し, 生体電気アンプ(MP100, (株)モンテシステム)に導出し, パーソナルコンピューターに取り込んだ. VF画像については, 付属のデジタルビデオレコーダー(DSR-20MD, SONY(株))に録画し, 予め入力した同期信号に基づき, 筋電図データとVF画像を再現し検討した. 【結果】口蓋帆挙筋活動は, 食塊を咽頭へ送り込む際, 軟口蓋を挙上させ口峡を開大させる事に関わっている事が明らかになった. 軟口蓋最大挙上後から約0.5秒後には, 軟口蓋は口蓋平面よりも低位となり, 咽頭後壁, 舌と接し鼻咽腔の気密性を維持し食塊を食道へ送り込む際の陰圧形成を助けている可能性が伺われた. 口蓋帆挙筋の筋活動開始から約0.2秒後, 口蓋舌筋活動は安静位よりわずかに活動を認めた. この筋活動は食塊が咽頭へ送り込まれる際の舌形態の樋状変化にともなう活動と考えられた. 軟口蓋の挙上により口峡が開大した後, 口蓋舌筋は挙上した軟口蓋に舌を圧接し, 食塊が咽頭へ流入することに関与していることが伺われた. |
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| ISSN: | 1343-8441 |