分子標的治療による放射線感受性増感に関する研究―特に細胞増殖因子受容体とそのシグナル伝達経路を標的とした治療法の開発

増殖因子受容体に対する抗体やシグナル伝達阻害剤を用いた分子標的治療の臨床試験が進行中である. しかし, その多くは薬剤単独または抗癌剤との併用で, 放射線との併用の臨床試験は少ない. 古くから, EGFRなどの増殖因子受容体の発現が予後不良因子とされていたが, その一因としてこれら増殖因子受容体の高発現の腫瘍は治療抵抗性であることが明らかとなってきた. 放射線感受性との関連ではEGFRの発現と放射線感受性が逆相関し, その機序に増殖因子受容体とその下流のシグナル伝達経路が放射線で活性化することが関与していることを報告した. これらは, 増殖因子受容体とそのシグナル伝達経路を分子標的とする薬剤と...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 5; pp. 354 - 355
Main Author 秋元哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.09.2001
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ISSN1343-2826

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Summary:増殖因子受容体に対する抗体やシグナル伝達阻害剤を用いた分子標的治療の臨床試験が進行中である. しかし, その多くは薬剤単独または抗癌剤との併用で, 放射線との併用の臨床試験は少ない. 古くから, EGFRなどの増殖因子受容体の発現が予後不良因子とされていたが, その一因としてこれら増殖因子受容体の高発現の腫瘍は治療抵抗性であることが明らかとなってきた. 放射線感受性との関連ではEGFRの発現と放射線感受性が逆相関し, その機序に増殖因子受容体とその下流のシグナル伝達経路が放射線で活性化することが関与していることを報告した. これらは, 増殖因子受容体とそのシグナル伝達経路を分子標的とする薬剤と放射線との併用は, 治療可能比を向上させうることを示すものである. 最近“生存シグナル伝達経路”としてその活性化が細胞の増殖やアポトーシスの抑制に関与するとされるRas-Raf-MAPKおよびPI3K-AKT/PKBの経路の放射線感受性修飾効果ついて検討し, 下記の知見を得ている.
ISSN:1343-2826