医療者・教育者のための習慣の科学

「要旨」医療者・教育者において, 対象者の悪い習慣を改め, 良い習慣をつけるように援助する場面は多い. 本稿は習慣の仕組みと習慣に密接な関係がある強化学習についての科学的な知見を中心に紹介する. 人間の行動には, 刺激反応型学習である習慣と目標指向型行動がある. 目標指向型行動を繰り返すことで習慣的行動が定着する. 習慣的行動の定着には2ヶ月程度の期間が必要である. 習慣を定着させるための方法として, if-then planをはじめとする認知的戦略や状況的戦略がある. 強化学習は報酬の予測と実際の報酬との差, すなわち報酬予測誤差を用いて, 行動の価値を学習している. 行動の動機付けには外発...

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Published in四国医療専門学校紀要 no. 5; pp. 5 - 11
Main Author 佐々木克尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 四国医療専門学校 31.03.2024
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ISSN2435-4562

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Summary:「要旨」医療者・教育者において, 対象者の悪い習慣を改め, 良い習慣をつけるように援助する場面は多い. 本稿は習慣の仕組みと習慣に密接な関係がある強化学習についての科学的な知見を中心に紹介する. 人間の行動には, 刺激反応型学習である習慣と目標指向型行動がある. 目標指向型行動を繰り返すことで習慣的行動が定着する. 習慣的行動の定着には2ヶ月程度の期間が必要である. 習慣を定着させるための方法として, if-then planをはじめとする認知的戦略や状況的戦略がある. 強化学習は報酬の予測と実際の報酬との差, すなわち報酬予測誤差を用いて, 行動の価値を学習している. 行動の動機付けには外発的動機付けと内発的動機付けがあり, 習慣の形成に効果が高いのは内発的動機付けと言われている. しかし肯定的なフィードバックなどの外的な報酬は内発的な動機づけを高める可能性がある.
ISSN:2435-4562