沼崎論文に対するEditorial Comment Fontan手術後の左肺動静脈瘻への責任末梢肺動脈塞栓により酸素化の改善を認めた1例

肺動静脈瘻(pulmonary arteriovenous fistula, 以下PAVF)は, 肺動脈と肺静脈の異常吻合をきたす血管奇形である. 遺伝性出血性毛細血管拡張症や肝臓疾患で出現することが知られている. 肝臓疾患で出現する際は肝肺症候群と呼ばれ, 血管の収縮因子と拡張因子の均衡が崩れることで, 肺内微小動静脈が拡張し, 引き起こされると説明される. しかしその詳細な機序は不明である. Fontan手術は, 肝静脈血液は下大静脈を介し, 直接肺に供給される循環である. 本症例のように, 肺へ供給される血流の左右不均衡により, 下大静脈血が不足している肺にPAVFが出現する. 肝静脈血...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 56; no. 3; pp. 309 - 310
Main Author 小野博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.03.2024
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488

Cover

More Information
Summary:肺動静脈瘻(pulmonary arteriovenous fistula, 以下PAVF)は, 肺動脈と肺静脈の異常吻合をきたす血管奇形である. 遺伝性出血性毛細血管拡張症や肝臓疾患で出現することが知られている. 肝臓疾患で出現する際は肝肺症候群と呼ばれ, 血管の収縮因子と拡張因子の均衡が崩れることで, 肺内微小動静脈が拡張し, 引き起こされると説明される. しかしその詳細な機序は不明である. Fontan手術は, 肝静脈血液は下大静脈を介し, 直接肺に供給される循環である. 本症例のように, 肺へ供給される血流の左右不均衡により, 下大静脈血が不足している肺にPAVFが出現する. 肝静脈血液が流入しないことが原因とされる. その流入しない側にPAVFが出現することを考えると, PAVFの原因は, 単一ではないと考えるが, 肝静脈血に含まれる因子の欠如により, 血管新生因子の代謝経路の不活性化もしくは抗血管新生因子の低下がその本質ではないかと推測される.
ISSN:0586-4488