家庭環境への介入を要したヒステリー性立位歩行障害の1例

「症例」15歳, 女性, 中学3年. 病名:転換型ヒステリー. 障害名:立位歩行障害. 主訴:立てない, 歩けない. 「現病歴」8月下旬, 電車の中で気分不良となり救急病院に搬送. 多発性硬化症が疑われ, 14病日当院リハ部に確定診断, リハ目的で転院. 既往歴:特記事項なし. 「現症, 検査所見」神経所見に異常を認めず, ROM,MMTも正常. 座位バランスは良好だが立位で足関節部の内反と体幹動揺が出現, 右に倒れる. 血算, 生化学, 髄液所見, 脳MRIも異常所見を認めず. 「リハ経過」ヒステリーの確定診断は慎重に除外診断の末行った. 両親は離婚し, 父親と二人暮しであり, 当初金銭面も...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 2; p. 149
Main Authors 藤本幹雄, 杉原勝宣, 難波孝礼, 越智文雄, 新舎規由, 石神重信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.2001
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ISSN0034-351X

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Summary:「症例」15歳, 女性, 中学3年. 病名:転換型ヒステリー. 障害名:立位歩行障害. 主訴:立てない, 歩けない. 「現病歴」8月下旬, 電車の中で気分不良となり救急病院に搬送. 多発性硬化症が疑われ, 14病日当院リハ部に確定診断, リハ目的で転院. 既往歴:特記事項なし. 「現症, 検査所見」神経所見に異常を認めず, ROM,MMTも正常. 座位バランスは良好だが立位で足関節部の内反と体幹動揺が出現, 右に倒れる. 血算, 生化学, 髄液所見, 脳MRIも異常所見を認めず. 「リハ経過」ヒステリーの確定診断は慎重に除外診断の末行った. 両親は離婚し, 父親と二人暮しであり, 当初金銭面も含めた父親の愛情不足が原因と考えアプローチしたが, その過程で母親の必要性が強く, 両親, 親族に病状を理解させることで, 母親との同居に成功した. 歩行可能となってからは異常を装具等で矯正しても新たな異常が出現し, 結果的に杖, 装具を用いることは効果的でなかった. 母親宅への外泊中に歩行異常の改善が著明であった.
ISSN:0034-351X