疾患の病態・治療-ハント症候群(Ramsay Hunt syndrome)

[I はじめに]ハント症候群は1907年J.Ramsay Huntにより初めて報告された疾患で, (1)耳介・外耳道の帯状疱疹 (2)末梢性顔面神経麻痺 (3)耳鳴・難聴・めまいなどの第VIII脳神経障害を3主徴とする. この3主徴がすべて存在する症例を完全型といい, いずれか一つを欠くものを不全型という. Varicella-zosterウイルス感染症であるが, 帯状疱疹を伴わないものはBell麻痺との鑑別が問題で, 通常zoster sine herpeteとして区別されている. 小児期に罹患した水痘のウイルスが顔面神経の膝神経節に潜伏し, その後何らかの原因で免疫機能が低下するとウイルス...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 97; no. 12; pp. 2344 - 2347
Main Author 草刈潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.12.1994
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ISSN0030-6622

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Summary:[I はじめに]ハント症候群は1907年J.Ramsay Huntにより初めて報告された疾患で, (1)耳介・外耳道の帯状疱疹 (2)末梢性顔面神経麻痺 (3)耳鳴・難聴・めまいなどの第VIII脳神経障害を3主徴とする. この3主徴がすべて存在する症例を完全型といい, いずれか一つを欠くものを不全型という. Varicella-zosterウイルス感染症であるが, 帯状疱疹を伴わないものはBell麻痺との鑑別が問題で, 通常zoster sine herpeteとして区別されている. 小児期に罹患した水痘のウイルスが顔面神経の膝神経節に潜伏し, その後何らかの原因で免疫機能が低下するとウイルスが活性化し症状を発現すると考えられている. 最近, 本疾患の膝神経節に本ウイルスのDNAが証明されており(Furuta et al 1992)1), またAIDS症例での発症も報告されている(Mishell and Applebaum 1990)2).
ISSN:0030-6622