男子大学陸上長距離選手に対する栄養教育のあり方

【目的】 箱根駅伝を目指す男子大学長距離選手に対する「栄養教育のあり方」について, 食生活の現状を調査することにより検討・把握することを目的とした. 【方法】 2008年, 2009年と2年間にわたり調査を実施した. 2008年は1~4年生37名を対象に(1)食事調査(秤量法) (2)形態測定 (3)食事に関する意識調査を実施した. 2009年は1年生17名を対象に(1)形態測定 (2)生化学検査 (3)食物摂取頻度調査(Excel栄養君, FFQg) (4)摂食態度調査(EAT-26, 一部改変)を実施した. 統計解析には, t-testまたはχ2検定を用い有意水準はすべて5%未満とした(S...

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Published in心身健康科学 Vol. 6; no. 1; p. 55
Main Authors 近藤幸祐, 佐藤裕子, 稲葉洋美, 小林修平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心身健康科学会 10.02.2010
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ISSN1882-6881

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Summary:【目的】 箱根駅伝を目指す男子大学長距離選手に対する「栄養教育のあり方」について, 食生活の現状を調査することにより検討・把握することを目的とした. 【方法】 2008年, 2009年と2年間にわたり調査を実施した. 2008年は1~4年生37名を対象に(1)食事調査(秤量法) (2)形態測定 (3)食事に関する意識調査を実施した. 2009年は1年生17名を対象に(1)形態測定 (2)生化学検査 (3)食物摂取頻度調査(Excel栄養君, FFQg) (4)摂食態度調査(EAT-26, 一部改変)を実施した. 統計解析には, t-testまたはχ2検定を用い有意水準はすべて5%未満とした(SPSS13.0J). 【結果】 2008年は全日本大学駅伝予選会エントリー選手(A群:10名)と控え選手(B群:27名)の2群に分け解析を行った. A, B群間で有意な体組成の差は認められなかった(t-test). A群と比較してB群の方が「自分が太っている」と回答した選手が多かったが(A:40%, B:63%)有意な差は認められなかった. B群はA群よりも「試合前の食事の仕方が競技成績に影響を与える」と考えており(81%, 40%, p=0.051), また「スポーツ選手として食事に気をつけていることがたくさんある」との回答が多かった(55.6%, 20%, p<0.05). 2009年の調査より, 1年生はCK, AST, ALT値が2~4年生よりも有意に高いことがわかった(p<0.01, p<0.05, p<0.05). 食態度に関しては2回の栄養教育により改善が認められた. 欠食する選手の割合が45%から0%に減り(p<0.05), 揚げ物や妙め物など油料理の摂取頻度が低下した. 【考察】 2008年の結果よりA, B群では食に対する意識の差が認められた. B群の選手の方が食に対する意識が高い, あるいは食事・栄養を改善することにより成績を向上させたい心理が窺えた. 1年生は大学陸上競技部の練習に耐えうる身体が出来上がっていないことが予想されたが, 生化学検査値から練習の身体に対する負荷の大きさが推察された. 1年生がけがをすることなく速やかに大学レベルの練習に参加できるよう, 競技スポーツに携わる管理栄養士として栄養面から基本的な栄養教育の実施を試みたが, 一定の教育効果が得られたと推察する. 栄養教育は継続して行うことにより, また集団教育だけではなく個別指導も併用することよりさらに高い教育効果が得られると考える.
ISSN:1882-6881