圧負荷肥大心に対する至適心筋保護液投与量に関する研究

「要旨」圧負荷肥大心の症例では心筋保護が不十分になることが危惧されるため, 当院では心筋保護液(cardioplegia:CP)の投与量を非肥大心の症例における投与量の1.5倍量としており, 本研究では心筋保護効果について検討した. 2014年1月から2019年4月の大動脈弁狭窄症に対する単独大動脈弁置換術50症例を対象とした. CP量が初回投与量20mL/kgおよび30分ごとに10mL/kg投与した群(1倍量群)が22例, 初回30mL/kgおよび30分ごとに15mL/kgを投与した群(1.5倍量群)は28例で, 患者背景, 術中・術後データを後方視的に検討した. 統計学的処理にFisher...

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Published in体外循環技術 Vol. 48; no. 1; pp. 12 - 15
Main Authors 紺野幸哉, 後藤武, 山田大貴, 田端愛, 小笠原順子, 大徳和之, 皆川正仁, 福田幾夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.03.2021
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」圧負荷肥大心の症例では心筋保護が不十分になることが危惧されるため, 当院では心筋保護液(cardioplegia:CP)の投与量を非肥大心の症例における投与量の1.5倍量としており, 本研究では心筋保護効果について検討した. 2014年1月から2019年4月の大動脈弁狭窄症に対する単独大動脈弁置換術50症例を対象とした. CP量が初回投与量20mL/kgおよび30分ごとに10mL/kg投与した群(1倍量群)が22例, 初回30mL/kgおよび30分ごとに15mL/kgを投与した群(1.5倍量群)は28例で, 患者背景, 術中・術後データを後方視的に検討した. 統計学的処理にFisherの正確検定, Mann-WhitneyのU検定を用いp<0.05を有意とした. 人工心肺離脱時間は1倍量群と1.5倍量群で, 27.9±9.8分vs.37.4±15.8分で1.5倍量群の方が有意に長かったが, 術後CK-MB, 左室心筋重量あたりのCK-MBや心拍出量, カテコラミン使用量などに有意差はなかった. 圧負荷肥大心に対するCP量の増量を行った結果, 1.5倍量で投与した群でCK-MBなどの有意差はなく非劣性であった.
ISSN:0912-2664