先天性心疾患の遺伝性についての検討

《Abstract》先天性心疾患 (CHD) の家族内発症例の特徴を調査した. 2014年4月1日~2023年3月31日に当院に入院した心疾患患者1436例の中で, 染色体の数の異常, 部分欠失, 遺伝子異常などの遺伝的症候群を伴わないCHD患者は1328例 (92.4%) であった. このうち不整脈, 心筋症, 川崎病, 心筋炎, 感染性心内膜炎, 肺動脈性肺高血圧を除いたCHD患者1040例 (90.6%) のうち25例 (2.4%) が家族性CHD (FCHD) と診断され, その家族27例にCHDを認めた. 発端者は心室中隔欠損 (VSD) 10例, 心房中隔欠損 (ASD) 8例,...

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Published in心臓 Vol. 57; no. 1; pp. 45 - 53
Main Authors 真室飛翔男, 飯島哲子, 野々宮瑞紀, 戸田紘一, 鍋嶋泰典, 小島拓朗, 葭葉茂樹, 小林俊樹, 帆足孝也, 鈴木孝明, 住友直方
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.01.2025
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ISSN0586-4488

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Summary:《Abstract》先天性心疾患 (CHD) の家族内発症例の特徴を調査した. 2014年4月1日~2023年3月31日に当院に入院した心疾患患者1436例の中で, 染色体の数の異常, 部分欠失, 遺伝子異常などの遺伝的症候群を伴わないCHD患者は1328例 (92.4%) であった. このうち不整脈, 心筋症, 川崎病, 心筋炎, 感染性心内膜炎, 肺動脈性肺高血圧を除いたCHD患者1040例 (90.6%) のうち25例 (2.4%) が家族性CHD (FCHD) と診断され, その家族27例にCHDを認めた. 発端者は心室中隔欠損 (VSD) 10例, 心房中隔欠損 (ASD) 8例, ファロー四徴症 (TOF) 2例, 動脈管開存 (PDA) 2例などが認められ, 兄弟発症が11例, 親の発症が10例, 祖父母の発症が5例であった. 発端者と家族の表現型はVSD-VSDが7例, ASD-ASDが7例であった. FCHDは遺伝的症候群を合併しないCHDに認められ, その遺伝形式は, 兄弟発症, 世代間発症と様々で, 表現型も必ずしも発端者と同一ではなく, 同性発症が多く, 遺伝子異常, 性ホルモンなど多因子が関与すると考えられた. 遺伝的症候群を合併する症例は108例で, 心筋疾患2例を除く106例 (10.8%) がCHDを合併しておりFCHDを認めた例はなかった.
ISSN:0586-4488