体外式超音波検査が診断に有用であった膵 solid pseudopapillary neoplasmの1例

「抄録」症例は10歳代, 女性. 主訴は左上腹部痛. 部活中に腹部を強打し, 左上腹部痛が出現した. 食物残渣様嘔吐も認め, 当院に救急搬送された. 当院搬送時, 左上腹部に疼痛及び圧痛を認めたが, 反跳痛はなかった. 当院搬送時の血液検査は白血球8,950 /μl, アミラーゼ204U/lと高値を示していた. 体外式腹部超音波検査では膵体部に76.1×68.1mm大の境界明瞭な被膜を伴う類円形腫瘤を認めた. 周囲臓器への浸潤所見は認めず, 腫瘍内部は不整で一部無エコー領域を伴い, ペルフルブタン (ソナゾイド(R)) による造影超音波検査では腫瘍内部の血流は乏しい所見であった. 超音波内視鏡...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 46; pp. 39 - 46
Main Authors 藤田穣, 眞部紀明, 中藤流以, 高岡宗徳, 浦上淳, 谷川朋弘, 角直樹, 中村純, 綾木麻紀, 今村祐志, 物部泰昌, 山辻知樹, 河本博文, 畠二郎, 猶本良夫, 春間賢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2020
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ISSN0386-5924

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Summary:「抄録」症例は10歳代, 女性. 主訴は左上腹部痛. 部活中に腹部を強打し, 左上腹部痛が出現した. 食物残渣様嘔吐も認め, 当院に救急搬送された. 当院搬送時, 左上腹部に疼痛及び圧痛を認めたが, 反跳痛はなかった. 当院搬送時の血液検査は白血球8,950 /μl, アミラーゼ204U/lと高値を示していた. 体外式腹部超音波検査では膵体部に76.1×68.1mm大の境界明瞭な被膜を伴う類円形腫瘤を認めた. 周囲臓器への浸潤所見は認めず, 腫瘍内部は不整で一部無エコー領域を伴い, ペルフルブタン (ソナゾイド(R)) による造影超音波検査では腫瘍内部の血流は乏しい所見であった. 超音波内視鏡検査所見も体外式腹部超音波検査と同様であった. 以上より, 腫瘍内出血を伴ったsolid pseudopapillary neoplasm (SPN) が最も考えられた. 第10病日に膵体尾部切除術を施行し, 術後経過は良好である. 腹部打撲を契機に偶然発見され, 体外式腹部超音波検査が質的診断に有用であった膵SPNを経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-5924