当初肺非結核性抗酸菌症と考えられていたが遺伝子解析によりTsukamurella感染症と診断された1例
要旨: 症例は58歳の女性. 血痰を主訴に当科へ紹介された. 胸部CTで中葉・舌区に気管支拡張症を認め, 経過を診ていた. 年に数回, 血痰や少量の喀血を認め, 中葉・舌区・両下葉に小葉中心性粒状影を認めるようになった. 喀痰検査のMALDI-TOF MSで, Mycobacterium marseillenseが同定された. その後もう一度行われた喀痰検査でもnontuberculous mycobacteriaが示唆された. 再度MALDI-TOF MSを行ったところ, 同定不能だったため, 16S rRNA, hsp65(heat shock protein 65), rpoB(RNA...
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| Published in | 結核 Vol. 97; no. 5; pp. 269 - 272 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
25.07.2022
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| ISSN | 0022-9776 |
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| Summary: | 要旨: 症例は58歳の女性. 血痰を主訴に当科へ紹介された. 胸部CTで中葉・舌区に気管支拡張症を認め, 経過を診ていた. 年に数回, 血痰や少量の喀血を認め, 中葉・舌区・両下葉に小葉中心性粒状影を認めるようになった. 喀痰検査のMALDI-TOF MSで, Mycobacterium marseillenseが同定された. その後もう一度行われた喀痰検査でもnontuberculous mycobacteriaが示唆された. 再度MALDI-TOF MSを行ったところ, 同定不能だったため, 16S rRNA, hsp65(heat shock protein 65), rpoB(RNA polymerase, β subunit)遺伝子解析を行い, その結果, Tsukamurella tyrosinosolvensと同定された. のちに通常細菌として処理したMALDI-TOF MSではTsukamurella speciesと同定された. Tsukamurella属はMycobacterium, Corynebacterium, Nocardia属と性状が類似しているため, これらの菌種に誤同定される可能性がある. MALDI-TOF MSは, 使いやすく, 迅速で, 費用対効果も高いが, 本症例のように検査手技に注意が必要なことがある. |
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| ISSN: | 0022-9776 |