上顎が無歯顎の骨格性反対咬合患者に顎矯正手術を施行した1例

「緒言」 我が国では, 高齢者人口の増加が続いており, 国立社会保障・人口問題研究所の推計(平成24年1月推計)によると, 65歳以上の人口は今後も増加傾向が続くとされている. この結果, 総人口に占める割合は平成22年の23.0%から平成25年には25.1~25.2%で4人に1人を上回り, 平成47年に33.3%で3人に1人になり, 平成72年には39.9%, すなわち2.5人に1人が老年人口になると見込まれている1). このような高齢化社会が進むに伴い, 今後未治療の顎変形症を伴う不正咬合を有する中高年の患者は増加すると考えられる. 反対咬合を呈する患者が無歯顎となった場合, 上下顎の相対...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 23; no. 4; pp. 216 - 223
Main Authors 道念正樹, 村上有二, 尾田充孝, 小堀善則, 松下和裕, 山口博雄, 三古谷忠, 高道理, 柴田健二郎, 斉藤文男, 塚本祐理, 佐藤嘉晃, 飯田順一郎, 井上農夫男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.12.2013
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ISSN0916-7048

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Summary:「緒言」 我が国では, 高齢者人口の増加が続いており, 国立社会保障・人口問題研究所の推計(平成24年1月推計)によると, 65歳以上の人口は今後も増加傾向が続くとされている. この結果, 総人口に占める割合は平成22年の23.0%から平成25年には25.1~25.2%で4人に1人を上回り, 平成47年に33.3%で3人に1人になり, 平成72年には39.9%, すなわち2.5人に1人が老年人口になると見込まれている1). このような高齢化社会が進むに伴い, 今後未治療の顎変形症を伴う不正咬合を有する中高年の患者は増加すると考えられる. 反対咬合を呈する患者が無歯顎となった場合, 上下顎の相対的前後関係はskeletal Class IIIであるため, 総義歯では安定した咬合が得られず, また形態的にも満足のいく結果が得られないことを日常の臨床でしばしば経験する. 今回われわれは, 上顎が無歯顎で骨格性下顎前突の58歳の患者に対して, 両側下顎枝矢状分割術を施行し, その後義歯を装着することで良好な結果を得たので, その概要を報告する.
ISSN:0916-7048