チューイングによるストレス緩和の脳内機構:fMRI による研究

「緒言」20世紀末以来, わが国の急激な社会構造の変化に伴い, 人々は計り知れないストレス環境下におかれ, 精神疾患や自律神経失調症あるいは内分泌疾患が急増し, 大きな社会問題になっている. ストレスは, 気温の変化, 騒音, 外傷などの物理的ストレス, 薬物やアルコールなどの化学的ストレス, 細菌などの微生物による生物学的ストレス, そして人間関係や不安, 緊張などによる心理的ストレスに分類される1-4). ヒトは, これまで科学技術を発達させることによって, 物理的, 化学的および生物学的ストレスから逃れようと努力し続けてきた. しかし, 最近では, これらの回避可能なストレスが減少した反...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神奈川歯学 Vol. 46; no. 1; pp. 7 - 17
Main Authors 丹羽政美, 楳田雄, 久岡清子, 水野潤造, 小野弓絵, 大塚剛郎, 久保金弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.06.2011
Online AccessGet full text
ISSN0454-8302

Cover

More Information
Summary:「緒言」20世紀末以来, わが国の急激な社会構造の変化に伴い, 人々は計り知れないストレス環境下におかれ, 精神疾患や自律神経失調症あるいは内分泌疾患が急増し, 大きな社会問題になっている. ストレスは, 気温の変化, 騒音, 外傷などの物理的ストレス, 薬物やアルコールなどの化学的ストレス, 細菌などの微生物による生物学的ストレス, そして人間関係や不安, 緊張などによる心理的ストレスに分類される1-4). ヒトは, これまで科学技術を発達させることによって, 物理的, 化学的および生物学的ストレスから逃れようと努力し続けてきた. しかし, 最近では, これらの回避可能なストレスが減少した反面, 急速な高齢化や情報化による目まぐるしい社会状況により, 心理的ストレスが増大した. ストレスはその内容と強さにより, "快ストレス"と"不快ストレス"に区別され, "快ストレス"は身体に適度な刺激を産み精神的充実感をもたらすが, "不快ストレス"は身体に種々の悪影響を与え, それが短時間であっても強いストレスの場合, あるいは弱くても持続的であると, 癌5, 6), 循環器疾患7-9), 消化器疾患10, 11), うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患12-14)を誘引することが指摘されている.
ISSN:0454-8302