唾液・血清SIgA値についての基礎的検討

「はじめに」 ヒト分泌液中の免疫グロブリンの主体となるSIgA(Secretory IgA, 分泌型IgA, S・IgA)は分泌液中ではほとんどdimer型であり, さらにSecretory component(SC)を結合して存在している. 消化管や気道などの局所免疫機構に関与し, ウイルスや細菌などの感染に際して, 多くの場合に血中抗体の出現よりいち早く粘膜面や分泌液中にIgA抗体として現われ, 感染防禦の役目をはたしている. さらに同種血球凝集素, SIgA型壁細胞抗体などの局所産生性自己抗体の活性も検出されている. 局所免疫系と系統免疫系の連係については, B細胞の分化・移動のほかに,...

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Published in神奈川歯学 Vol. 24; no. 2; pp. 399 - 403
Main Authors 吉田直美, 木村友七, 岩宮万里子, 岩本朗子, 笹田睦美, 伊東利, 菊池信弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.09.1989
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ISSN0454-8302

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Summary:「はじめに」 ヒト分泌液中の免疫グロブリンの主体となるSIgA(Secretory IgA, 分泌型IgA, S・IgA)は分泌液中ではほとんどdimer型であり, さらにSecretory component(SC)を結合して存在している. 消化管や気道などの局所免疫機構に関与し, ウイルスや細菌などの感染に際して, 多くの場合に血中抗体の出現よりいち早く粘膜面や分泌液中にIgA抗体として現われ, 感染防禦の役目をはたしている. さらに同種血球凝集素, SIgA型壁細胞抗体などの局所産生性自己抗体の活性も検出されている. 局所免疫系と系統免疫系の連係については, B細胞の分化・移動のほかに, T細胞による調節が重要な役割を演じていることが判明してきている. IgA系に特異的なhelper T細胞や, IgA特異的suppressor T細胞(Tα)の存在についても議論されているが, はっきりとした報告は得られていない.
ISSN:0454-8302