V-V ECMO施行時ベッドサイドで実施可能な早期離脱を目指したWeaning Trial

「要旨」当院において2020年10月の第3波で経験したCOVID-19による重症呼吸不全患者に対してV-V ECMOを導入した際, 感染拡大防止の観点から胸部X線CTなどの通常ならば利用できる検査に制限が生じた. 血液ガス分析は改善傾向ではあるが, 胸部X線写真のすりガラス陰影の著明な改善を認めないことからECMO離脱タイミングの判断に苦慮する経験があった. その理由として, ECMOからの高い酸素供給により血液ガス分析結果が高く示されていたことが挙げられる. そこで我々は, ベッドサイドで簡便にモニタリング可能なSpO2と体外循環用血液ガス分析装置などを用いて, ECMOのFDO2を段階的に...

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Published in体外循環技術 Vol. 51; no. 1; pp. 43 - 47
Main Authors 加藤尚嵩, 後藤武, 堀雅弥, 小笠原順子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.03.2024
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」当院において2020年10月の第3波で経験したCOVID-19による重症呼吸不全患者に対してV-V ECMOを導入した際, 感染拡大防止の観点から胸部X線CTなどの通常ならば利用できる検査に制限が生じた. 血液ガス分析は改善傾向ではあるが, 胸部X線写真のすりガラス陰影の著明な改善を認めないことからECMO離脱タイミングの判断に苦慮する経験があった. その理由として, ECMOからの高い酸素供給により血液ガス分析結果が高く示されていたことが挙げられる. そこで我々は, ベッドサイドで簡便にモニタリング可能なSpO2と体外循環用血液ガス分析装置などを用いて, ECMOのFDO2を段階的に漸減することで, 患者自己肺の評価を行った. それにより病勢把握が可能となり, V-V ECMOの離脱を評価するWeaning Trialを施行した. 本研究で経験した3例では, すりガラス陰影の改善は認めないものの, ECMOを離脱することができた. COVID-19流行時の限られた医療機器の中で, Weaning Trialはベッドサイドで簡便にモニタリング可能なデバイスのみで酸素化能と二酸化炭素排泄能について評価可能であり, V-V ECMOの日常的な離脱評価の方法の一つになりえるものと考える.
ISSN:0912-2664