膝関節内に発生した限局性色素性絨毛結節性滑膜炎(PVS)の2例

【目的】PVSは比較的稀な患者であるが膝関節に好発することが知られている. 我々は最近本症のうちのLocalized Typeと思われる2例を治療する機会に遭遇したため報告する. 【症例1】16歳, 男性. 主訴:左膝関節痛, 腫脹. サッカーの授業中, シュート時空振りして左膝の過伸展を強制し膝痛を自覚. 徐々に疼痛増強し, 腫脹並びに伸展制限も出現したため翌日当科初診. 初診時左膝腫脹, 膝蓋跳動, 強制伸展時痛, 可動域制限を認め, 内側関節裂隙に圧痛を認めた. 腫瘤は触知せず, 関節血症を認めた. 術前MRIではpatella下方に2×2cmほどの腫瘤を認め, T1でlow, T2で不...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 4; pp. 1291 - 1292
Main Authors 宮本和彦, 佐久間克彦, 田島徹, 平山征吾, 本多一宏, 中島伸一, 平良誠, 甲斐功一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.1999
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ISSN0037-1033

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Summary:【目的】PVSは比較的稀な患者であるが膝関節に好発することが知られている. 我々は最近本症のうちのLocalized Typeと思われる2例を治療する機会に遭遇したため報告する. 【症例1】16歳, 男性. 主訴:左膝関節痛, 腫脹. サッカーの授業中, シュート時空振りして左膝の過伸展を強制し膝痛を自覚. 徐々に疼痛増強し, 腫脹並びに伸展制限も出現したため翌日当科初診. 初診時左膝腫脹, 膝蓋跳動, 強制伸展時痛, 可動域制限を認め, 内側関節裂隙に圧痛を認めた. 腫瘤は触知せず, 関節血症を認めた. 術前MRIではpatella下方に2×2cmほどの腫瘤を認め, T1でlow, T2で不均一なlow~iso intensityを呈していた. 手術所見は膝蓋下脂肪体から茎を有する赤褐色調の結節状の腫瘤を認め, 一塊として切除した. 【症例2】20歳, 男性. 主訴:右膝腫脹及び疼痛. 特に誘因なく突然の右膝痛が生じたため当科初診となった. 初診時, 右膝全体に腫脹があり, 膝蓋靱帯の脛骨結節付着部外側にφ約3×2cmの腫瘤を触知した. 右膝の可動域はfullであった. 術前MRIではpatella下方に2.5×2.5cmほどの腫瘤を認めた. これはT1でlow, T2で不均一なhigh intensityを呈しており一部脛骨に浸潤していた. 手術所見は膝蓋靱帯付着部に茶褐色の腫瘤を認めた. 脛骨に茎を認め, 脛骨を一部含んで切除した. 【結果】2症例とも組織学的には典型的なPVSの組織像を呈していた. 短期成績ではあるが膝可動域制限もなく, 現在まで再発は認めていない.
ISSN:0037-1033