H.pylori感染を契機に急性胃粘膜病変を発症した1例

「はじめに」 H.pylori初感染の多くは年少期に成立し, 成人での初感染は稀である. 今回, H.pylori初感染による急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesions:AGML)の成人症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」 患者:39歳, 女性. 主訴:心窩部痛, 嘔吐. 既往歴:うつ病. 現病歴:うつ病にて当院精神科に通院中, 2011年10月に心窩部痛と頻回の嘔吐を主訴に当院を受診した. 来院時の血液検査では白血球11,300/μl, CRP1.37mg/dlと軽度の炎症反応を認めた. 緊急内視鏡検査で前庭部から胃角上部にかけて著明な...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inProgress of Digestive Endoscopy(2001年から) Vol. 81; no. 2; pp. 84 - 86
Main Authors 茶谷成, 矢田智之, 大久保恒希, 青木洋一郎, 尾上淑子, 小飯塚仁彦, 上村直実, 石田剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消化器内視鏡学会関東支部会 07.12.2012
Online AccessGet full text
ISSN1348-9844

Cover

More Information
Summary:「はじめに」 H.pylori初感染の多くは年少期に成立し, 成人での初感染は稀である. 今回, H.pylori初感染による急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesions:AGML)の成人症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「症例」 患者:39歳, 女性. 主訴:心窩部痛, 嘔吐. 既往歴:うつ病. 現病歴:うつ病にて当院精神科に通院中, 2011年10月に心窩部痛と頻回の嘔吐を主訴に当院を受診した. 来院時の血液検査では白血球11,300/μl, CRP1.37mg/dlと軽度の炎症反応を認めた. 緊急内視鏡検査で前庭部から胃角上部にかけて著明な粘膜発赤, 浮腫および黒苔を伴う多発性の潰瘍とびらんを認め, AGMLと診断された(Fig.1). 前庭部からの生検組織には好中球を主体とする炎症細胞浸潤を認め, 免疫染色にて多数のH.pylori菌体を認めた(Color 1).
ISSN:1348-9844