慢性骨髄性白血病におけるABO不適合骨髄移植後に発症した赤芽球癆に対しメチルプレドニゾロンパルス療法が奏効した1例
目的:慢性骨髄性白血病(CML)慢性期患者に施行したABO不適合同種骨髄移植後に発症した赤芽球癆(PRCA)に対し,メチルプレドニゾロン(m-PSL)パルス療法を行い著しい治療効果を認めたので報告する. 症例:患者は33歳男性(O型). CML慢性期の診断の下,HLA一致,MLC陰性の兄(A型)より同種骨髄移植を行った. 移植前のIgM抗A抗体価は128倍であった. 前処置はシタラビン(2g/平方メートル×4),シクロフォスファミド(60mg/kg×2),分割全身照射(12Gy)を選択した. Ficoll-Hypaque比重遠心法にて骨髄液中の赤血球を除去し,有核細胞数2.42×10^8 /k...
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| Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 1; p. 84 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本輸血学会
01.03.1997
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| ISSN | 0546-1448 |
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| Summary: | 目的:慢性骨髄性白血病(CML)慢性期患者に施行したABO不適合同種骨髄移植後に発症した赤芽球癆(PRCA)に対し,メチルプレドニゾロン(m-PSL)パルス療法を行い著しい治療効果を認めたので報告する. 症例:患者は33歳男性(O型). CML慢性期の診断の下,HLA一致,MLC陰性の兄(A型)より同種骨髄移植を行った. 移植前のIgM抗A抗体価は128倍であった. 前処置はシタラビン(2g/平方メートル×4),シクロフォスファミド(60mg/kg×2),分割全身照射(12Gy)を選択した. Ficoll-Hypaque比重遠心法にて骨髄液中の赤血球を除去し,有核細胞数2.42×10^8 /kgの骨髄液を輸注した. 好中球は移植15日目に500/μlに,血小板は22日目に2万/μl以上に増加したが,赤血球の造血回復は遅延した. Ph^1 は133日目に陰性化した. 骨髄中の赤芽球は2%以下が持続しPRCAと診断した. PSL中等量,エリスロポエチン投与にも不応であり,284日目にm-PSLパルス療法(20mg/kg)を施行した. 292目目に網状赤血球1.0%となり,以後急速に増加して305日目に17.0%の頂値を示し,骨髄での赤芽球の増加もみられ,貧血も徐々に改善した. IgM抗A抗体は300日目に,IgG抗A抗体は323日目に各々消失し,患者の血液型もO型からA型に変化した. 結語:ABO不適合骨髄移植で時々みられる赤血球造血遅延例に,m-PSLパルス療法は有効な治療手段の一つと考えられる. |
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| ISSN: | 0546-1448 |