ATP7B遺伝子解析の結果からみた日本人Wilson病の遺伝子診断の方略

【緒言】Wilson病における原因遺伝子(ATP7B)の変異は極めて多岐にわたり, 世界的にはすでに200種類以上の変異が報告されている. また変異の型と頻度には人種差が認められる. そのため, 日本人Wilson病症例の遺伝子診断には, 独自の方略が必要と考えられる. 本研究にて筆者らは, 日本人症例に対するATP7B遺伝子解析の結果より, 効率の良いWilson病遺伝子診断の方略を検討した. 【対象および方法】対象は, 日本人Wilson病症例55例と本症を疑われた症例5例の計60例であった. 末梢血よりgenomic DNAを抽出し, ATP7B遺伝子の各エクソンをPCR法にて増幅した....

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 15; no. 3; p. 302
Main Authors 竹下由紀子, 清水教一, 逸見仁道, 嶋武博之, 岡田光正, 青木継稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 01.10.2004
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ISSN0916-717X

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Summary:【緒言】Wilson病における原因遺伝子(ATP7B)の変異は極めて多岐にわたり, 世界的にはすでに200種類以上の変異が報告されている. また変異の型と頻度には人種差が認められる. そのため, 日本人Wilson病症例の遺伝子診断には, 独自の方略が必要と考えられる. 本研究にて筆者らは, 日本人症例に対するATP7B遺伝子解析の結果より, 効率の良いWilson病遺伝子診断の方略を検討した. 【対象および方法】対象は, 日本人Wilson病症例55例と本症を疑われた症例5例の計60例であった. 末梢血よりgenomic DNAを抽出し, ATP7B遺伝子の各エクソンをPCR法にて増幅した. 得られたPCR産物の塩基配列をダイレクトシークエンス法にて決定し, 変異を同定確認した. なお, 遺伝子解析は患者本人あるいは保護者の同意を得て行った. 【結果】本症症例53例および疑い症例2例より21種類の変異が同定された. 変異を認めなかった疑い症例3例は, その後の精査にてWilson病ではないことが明らかとなった. 高い頻度にて検出された変異は, R778L 21.8%, 2871delC 16.4%, A874V 12.7%, 2659delG 10.0%などであり, 1ないし2アリルにのみ認められた変異も多数存在した.
ISSN:0916-717X