限局性尿管アミロイドーシスの1例

抄録: 症例は62歳, 女性. 右下腹部痛を主訴に前医を受診した. 造影CTで右水腎症と下部尿管狭窄を認め, 逆行性腎盂造影で右下部尿管に約4cmの陰影欠損を認めた. 右尿管鏡検査を施行したところ, 一部乳頭状にも見える粘膜肥厚を認めたため粘膜生検を施行した. 病理結果は異型性を示す尿路上皮の増生を示し, 腫瘍性と反応性の判別は困難であった. 分腎尿はclass IIであった. 悪性を否定できず, 腹腔鏡下右腎尿管全摘除術を施行した. 術後病理検査で腫瘍性病変を認めず, 狭窄部位に一致してコンゴー・レッド染色陽性のアミロイド沈着像を認めた. 全身性アミロイドーシスを示唆する所見はなく, 限局性...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 86; no. 4; pp. 264 - 267
Main Authors 鈴木大一郎, 西田敬悟, 白戸玲臣, 横山雅好, 岡明博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.04.2024
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ISSN0029-0726

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Summary:抄録: 症例は62歳, 女性. 右下腹部痛を主訴に前医を受診した. 造影CTで右水腎症と下部尿管狭窄を認め, 逆行性腎盂造影で右下部尿管に約4cmの陰影欠損を認めた. 右尿管鏡検査を施行したところ, 一部乳頭状にも見える粘膜肥厚を認めたため粘膜生検を施行した. 病理結果は異型性を示す尿路上皮の増生を示し, 腫瘍性と反応性の判別は困難であった. 分腎尿はclass IIであった. 悪性を否定できず, 腹腔鏡下右腎尿管全摘除術を施行した. 術後病理検査で腫瘍性病変を認めず, 狭窄部位に一致してコンゴー・レッド染色陽性のアミロイド沈着像を認めた. 全身性アミロイドーシスを示唆する所見はなく, 限局性尿管アミロイドーシスと診断した. 術後5カ月で再発を認めていない.
ISSN:0029-0726