(I-3-2)液体の連続嚥下における動態-その観察方法と分類の再考

【目的】通常, 我々が飲水するときはコップやストローを使用し, 何口か連続して飲むことが多い. しかし, この連続的に起こる嚥下動態については未だ明らかでない点が多い. 本研究では嚥下造影(VF), 嚥下内視鏡検査(VE), 視診による観察を行い, 検討した. 【対象と方法】対象は摂食・嚥下に関して愁訴がなく, 常食を摂取している健常成人15名(25-68歳, 平均50歳)とした. 50%w/vバリウム液を「数口連続して飲んで下さい」という指示とともに与え, ストローを用いて嚥下する場面を, VF(側面像)とVE(軟口蓋上から観察)により同時に記録した. 得られた画像を同期して解析した. VF...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 307 - 308
Main Authors 都島千明, 馬場尊, 才藤栄一, 横山通夫, 藤井航, 金森大輔, 重田律子, 遠藤幸男, 清水康裕, 植松宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 31.12.2006
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ISSN1343-8441

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Summary:【目的】通常, 我々が飲水するときはコップやストローを使用し, 何口か連続して飲むことが多い. しかし, この連続的に起こる嚥下動態については未だ明らかでない点が多い. 本研究では嚥下造影(VF), 嚥下内視鏡検査(VE), 視診による観察を行い, 検討した. 【対象と方法】対象は摂食・嚥下に関して愁訴がなく, 常食を摂取している健常成人15名(25-68歳, 平均50歳)とした. 50%w/vバリウム液を「数口連続して飲んで下さい」という指示とともに与え, ストローを用いて嚥下する場面を, VF(側面像)とVE(軟口蓋上から観察)により同時に記録した. 得られた画像を同期して解析した. VF画像では喉頭前庭の閉鎖と喉頭挙上, VE画像からは咽頭閉鎖を確認した. さらに被験者2例において, VFおよびVEに加えて頚部外観をデジタルビデオカメラで同時に撮影して観察した. 被験者には十分な説明後, 書面による同意を得た. 【結果】VF像より, 喉頭の動態に着目し3つの嚥下様式に分類した. すなわち, 第一に喉頭前庭の閉鎖と喉頭挙上を持続したまま嚥下する様式, 第二に一嚥下毎に喉頭前庭が開大し, 挙上した喉頭が復位する様式, そして一嚥下毎に喉頭前庭が開大し, かつ喉頭挙上が持続する様式である. 喉頭前庭閉鎖の持続と開放が混在する例も認めた. VF像での喉頭閉鎖の所見とVE像における咽頭閉鎖の所見は有意に一致していた(κ=0.95, p<0.001). また喉頭挙上は視診で容易に確認でき, VFにおける評価と一致した. 【考察】液体の連続嚥下における動態は, 個人差があり, 一様な事象ではないことが確認できた. また, VEと視診を組み合わせることにより, 今回確認したそれぞれの様式に, 被爆することなく分類可能である. 今後, それぞれの連続嚥下様式を検討する上で, 今回得られた結果は有用と考えられた.
ISSN:1343-8441