グリコピロニウムトシル酸塩水和物, ソフピロニウム臭化物およびオキシブチニン塩酸塩のムスカリンM3受容体に対する結合親和性の比較検討

「要旨」近年, 原発性局所多汗症の治療において, 抗コリン薬であるグリコピロニウムトシル酸塩水和物, ソフピロニウム臭化物, オキシブチニン塩酸塩を含む外用薬が治療薬として登場した. しかしながら, これらの臨床的な有用性に関して直接比較したデータはまだ存在しない. 本研究では, これらの抗コリン薬のムスカリン受容体サブタイプ3(M3)(以下, M3受容体)に対する結合速度と解離速度を比較検討した. Scatchard解析の結果, これらの薬剤はM3受容体に対して高い親和性を持ち, 特にグリコピロニウムトシル酸塩水和物が最も高い結合容量を示した. 結合速度の検討では, グリコピロニウムトシル酸...

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Published in新薬と臨牀 Vol. 74; no. 2; pp. 111 - 121
Main Authors マルホ株式会社, 北野高道, 天笠克昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 医薬情報研究所 10.02.2025
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ISSN0559-8672

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Summary:「要旨」近年, 原発性局所多汗症の治療において, 抗コリン薬であるグリコピロニウムトシル酸塩水和物, ソフピロニウム臭化物, オキシブチニン塩酸塩を含む外用薬が治療薬として登場した. しかしながら, これらの臨床的な有用性に関して直接比較したデータはまだ存在しない. 本研究では, これらの抗コリン薬のムスカリン受容体サブタイプ3(M3)(以下, M3受容体)に対する結合速度と解離速度を比較検討した. Scatchard解析の結果, これらの薬剤はM3受容体に対して高い親和性を持ち, 特にグリコピロニウムトシル酸塩水和物が最も高い結合容量を示した. 結合速度の検討では, グリコピロニウムトシル酸塩水和物が最も速くM3受容体に結合することが示され, また解離速度の検討においても最も遅い解離速度を示した. これらの結果から, グリコピロニウムトシル酸塩水和物はM3受容体に対して高い親和性と最大結合容量を持ち, 迅速に結合し, 長時間作用することが示唆された. 一方で, オキシブチニン塩酸塩とソフピロニウム臭化物もM3受容体に対して高い親和性を持つものの, 解離速度や半減期の違いから, 製品プロファイルに差がある可能性が考えられた.
ISSN:0559-8672