マウス白血病細胞の67Gaの取り込みについて

「緒言」67Ga-citrate(以下67Gaと略す)は, 第III族に属する金属イオンである. 臨床的には, 1969年にEdwardとHayesによって初めてホジキン患者の骨シンチグラフィーの目的として用いられた. その結果, 骨への集積は乏しく期待はずれであったが, 罹患リンパ節病巣への予期しない異常集積が観察された. 67Gaスキャンはこれを契機に現在の広い普及となった. しかしながら, 悪性腫瘍への集積機序については今なお不明な点が多い. すなわち, 静注された67Gaが血中のトランスフェリンと結合し, 腫瘍細胞まで運ばれる過程については明らかにされてきたが, その後の細胞内への移動...

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Published in神奈川歯学 Vol. 22; no. 1; pp. 90 - 101
Main Authors 大塚均, 東与光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.06.1987
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」67Ga-citrate(以下67Gaと略す)は, 第III族に属する金属イオンである. 臨床的には, 1969年にEdwardとHayesによって初めてホジキン患者の骨シンチグラフィーの目的として用いられた. その結果, 骨への集積は乏しく期待はずれであったが, 罹患リンパ節病巣への予期しない異常集積が観察された. 67Gaスキャンはこれを契機に現在の広い普及となった. しかしながら, 悪性腫瘍への集積機序については今なお不明な点が多い. すなわち, 静注された67Gaが血中のトランスフェリンと結合し, 腫瘍細胞まで運ばれる過程については明らかにされてきたが, その後の細胞内への移動機序と細胞内での結合物質については諸説があり一致していない. 主な仮説としては, Hayes, Septon, Larson, Higashi, Kojimaらの説があげられる. 私たちの教室において, 鹿島は, 放射線照射による67Gaにおよぼす影響を, 志村, 古川は, 鉄代謝と67Gaの取り込みの関係を, 山口は, 培養細胞を用いて細胞周期と67Gaの取り込みの関係を, 小林は, ATP代謝と67Gaの取り込みの関係を検討してきた.
ISSN:0454-8302