家族性腫瘍コーディネーター・家族性腫瘍カウンセラー (FCC) 制度の歩みと今後
「I. はじめに」遺伝性腫瘍は特徴的な臨床症状から診断される比較的稀な疾患でしたが, 1990年代にいくつかの原因遺伝子が発見され, 大腸, 乳腺, 子宮, 卵巣等の一般的な固形腫瘍の中にも実は遺伝性疾患であるケースが含まれる場合があることが明らかとなりました. このような遺伝性腫瘍の多くは遅発性の常染色体優性遺伝病であり家系内に遺伝子変異を持つ多くの未発症者が存在します. 遺伝子検査は発端者の確定診断に加え, 未発症血縁者の将来の発症リスクを推定し, 適切な予防やフォローアップの対策を立てるのに有用な方法となります. このような研究の進歩によって, がんの早期発見や発症リスクの推定に遺伝子検...
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Published in | 家族性腫瘍 Vol. 15; no. 1; pp. 16 - 20 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本家族性腫瘍学会
15.01.2015
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-1052 |
Cover
Summary: | 「I. はじめに」遺伝性腫瘍は特徴的な臨床症状から診断される比較的稀な疾患でしたが, 1990年代にいくつかの原因遺伝子が発見され, 大腸, 乳腺, 子宮, 卵巣等の一般的な固形腫瘍の中にも実は遺伝性疾患であるケースが含まれる場合があることが明らかとなりました. このような遺伝性腫瘍の多くは遅発性の常染色体優性遺伝病であり家系内に遺伝子変異を持つ多くの未発症者が存在します. 遺伝子検査は発端者の確定診断に加え, 未発症血縁者の将来の発症リスクを推定し, 適切な予防やフォローアップの対策を立てるのに有用な方法となります. このような研究の進歩によって, がんの早期発見や発症リスクの推定に遺伝子検査という強力な選択肢が加わりましたが, 遺伝子変異を持つ若年の未発症者が20年後に発症するかもしれないがんにどのように立ち向かえば良いのか, 将来の不安に対する心理社会学的影響や就職, 結婚等, 様々な問題が生じてきます. |
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ISSN: | 1346-1052 |