末梢神経損傷によって生じる運動ニューロンの形態変化

「要旨」: 末梢神経損傷の損傷様式の差異が細胞体の形態に及ぼす影響を明らかにするために, 内側腓腹筋支配神経を挫滅(挫滅群)または切断(切断群)したラットと, 神経に損傷を加えない(対照群)ラットの運動ニューロンを逆行性標識し, その平均細胞体径と細胞数を解析した. 結果, 細胞数は対象群に比べ, 挫滅群及び切断群で減少傾向を示した. 平均細胞体径は3群間に有意な差はなかったが, γ運動ニューロンと思われる比較的小型の運動ニューロンの数の減少が観察された. 今後, 末梢神経損傷後のγ運動ニューロンの機能的回復についてより詳細な研究が必要であると思われる. 「緒言」運動ニューロンは軸索が損傷する...

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Published in運動障害 Vol. 23; no. 2; pp. 85 - 89
Main Authors 芦川聡宏, 村松憲, 斎藤利恵, 石黒友康, 佐々木誠一, 丹羽正利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動障害研究会 15.12.2013
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ISSN0917-5601

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Summary:「要旨」: 末梢神経損傷の損傷様式の差異が細胞体の形態に及ぼす影響を明らかにするために, 内側腓腹筋支配神経を挫滅(挫滅群)または切断(切断群)したラットと, 神経に損傷を加えない(対照群)ラットの運動ニューロンを逆行性標識し, その平均細胞体径と細胞数を解析した. 結果, 細胞数は対象群に比べ, 挫滅群及び切断群で減少傾向を示した. 平均細胞体径は3群間に有意な差はなかったが, γ運動ニューロンと思われる比較的小型の運動ニューロンの数の減少が観察された. 今後, 末梢神経損傷後のγ運動ニューロンの機能的回復についてより詳細な研究が必要であると思われる. 「緒言」運動ニューロンは軸索が損傷するとWaller変性を引き起こし, 軸索を再伸長させ標的となる筋線維を再支配するが, 再神経支配できなかった場合には細胞死を引き起こすことがある. 末梢神経を挫滅あるいは切断してその細胞体を調べた研究では, 切断後周径が増加し, 挫滅・切断後とも細胞数がわずかに減少した1).
ISSN:0917-5601