周術期における止血・凝固系モニタリング 心臓血管外科領域における凝固モニタリング-心臓手術中の止血困難に対してどう対処するかについての実践的アプローチ

[要旨] 心臓手術患者は糖尿病, 高血圧, 高脂血症などを合併しており, その多くが抗血小板, 抗凝固療法を受けておりこれらは周術期の凝固異常につながる可能性がある. また人工心肺の使用, ヘパリンの投与, 高圧系の血管からの出血が多いのも心臓手術の特徴である. ヘパリンのモニターとしては活性化凝固時間(ACT)が一般的であるが, 目標ACTのためのヘパリン投与量を決めてくれる血液凝固分析装置HMS plusはプロタミンによるヘパリンの拮抗の際にも有用であろう. またソノクロットは凝固現象の各成分がモニターでき成分輸血にも有用であろう. モニターを通じ各臨床像から個々に対処していくこと, これ...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 33; no. 2; pp. 279 - 285
Main Authors 池崎弘之, 米谷聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.03.2013
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ISSN0285-4945

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Summary:[要旨] 心臓手術患者は糖尿病, 高血圧, 高脂血症などを合併しており, その多くが抗血小板, 抗凝固療法を受けておりこれらは周術期の凝固異常につながる可能性がある. また人工心肺の使用, ヘパリンの投与, 高圧系の血管からの出血が多いのも心臓手術の特徴である. ヘパリンのモニターとしては活性化凝固時間(ACT)が一般的であるが, 目標ACTのためのヘパリン投与量を決めてくれる血液凝固分析装置HMS plusはプロタミンによるヘパリンの拮抗の際にも有用であろう. またソノクロットは凝固現象の各成分がモニターでき成分輸血にも有用であろう. モニターを通じ各臨床像から個々に対処していくこと, これが最善の対処法と考える. 「はじめに」 心臓血管外科(心外)手術における出血にいかにアプローチしていくか? 明らかな外科的出血は外科的止血以外に方策はない. しかし心外手術でよく見られるoozing出血状態に代表されるような病態は血液の凝固能低下もその一因であり, このような出血に対してその病態を理解しできる限り出血を少なくするよう試みることが肝要である.
ISSN:0285-4945