トラネキサム酸およびグリチルリチン酸ジカリウム配合歯磨剤の歯周疾患予防効果に関する研究

「緒言」歯周疾患は歯の支持組織に生じた炎症性の疾患であり, 歯肉辺縁部の発赤, 腫脹および出血などに始まり, 症状の進行によって歯周ポケットの形成, 歯牙の動揺を生じ, 最終的には歯牙の脱落の原因となる. 歯周疾患の主原因は, 歯肉辺縁部の歯垢といわれている. したがって, その予防法としては, ブラッシングなどにより歯垢を除去することが最も基本的かつ日常的な手段と言える. しかしながら, 歯垢はたえず口腔内に形成されるため, 歯肉辺縁部の歯垢を完全に除去することは容易でない. そこで, 歯周疾患予防に有効な成分を配合した歯磨剤を用い, ブラッシングによる歯垢除去と同時に炎症組織の初期症状を緩...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 41; no. 5; pp. 643 - 653
Main Authors 中尾俊一, 安井利一, 田中園治, 小野沢裕彦, 田中入, 大高義文, 菅沼信夫, 徳光史彦, 山本瑞哉, 森田十誉子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 01.10.1991
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ISSN0023-2831

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Summary:「緒言」歯周疾患は歯の支持組織に生じた炎症性の疾患であり, 歯肉辺縁部の発赤, 腫脹および出血などに始まり, 症状の進行によって歯周ポケットの形成, 歯牙の動揺を生じ, 最終的には歯牙の脱落の原因となる. 歯周疾患の主原因は, 歯肉辺縁部の歯垢といわれている. したがって, その予防法としては, ブラッシングなどにより歯垢を除去することが最も基本的かつ日常的な手段と言える. しかしながら, 歯垢はたえず口腔内に形成されるため, 歯肉辺縁部の歯垢を完全に除去することは容易でない. そこで, 歯周疾患予防に有効な成分を配合した歯磨剤を用い, ブラッシングによる歯垢除去と同時に炎症組織の初期症状を緩和することが有効な予防手段と考えられ, これまで多くの臨床試験成績が報告されている1-11). そのうち炎症の発現, 進行にかかわる生体成分のひとつであるプラスミンに対して抑制作用を有するトラネキサム酸を配合した歯磨剤の歯周疾患予防効果に関する報告が興味深い3,4,7,9).
ISSN:0023-2831