CT造影剤注入時の空気混入防止

医療ミスは, 医療にたずさわる医師, 看護師等が人為的ミスにより, 患者に対して的確ではない処置を施してしまうことで患者は死亡あるいは重篤な状態に陥ることに成りかねない. 私達, 放射線科看護師は, 患者への安全と安楽を確保し検査がスムーズに進むよう放射線技師と協力し業務を行なっている. 業務手順に基づき教育を受け, 責任をもち実施している. CT造影注入における血管確保は看護師に任されている. 血管確保の穿刺をする体位は両手を挙上し肘関節前腕肘かの内側肘静脈に注射針を穿刺する, 血管外に漏れない, 短時間に行なう等, 厳しい条件で精神的プレッシャーを克服し努力している. しかし, CT造影を...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; p. 549
Main Authors 大塚睦美, 上原妙子, 岡江俊治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 01.09.2005
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ISSN0468-2513

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Summary:医療ミスは, 医療にたずさわる医師, 看護師等が人為的ミスにより, 患者に対して的確ではない処置を施してしまうことで患者は死亡あるいは重篤な状態に陥ることに成りかねない. 私達, 放射線科看護師は, 患者への安全と安楽を確保し検査がスムーズに進むよう放射線技師と協力し業務を行なっている. 業務手順に基づき教育を受け, 責任をもち実施している. CT造影注入における血管確保は看護師に任されている. 血管確保の穿刺をする体位は両手を挙上し肘関節前腕肘かの内側肘静脈に注射針を穿刺する, 血管外に漏れない, 短時間に行なう等, 厳しい条件で精神的プレッシャーを克服し努力している. しかし, CT造影を読影した医師が「空気が混入している」と指摘, その空気量は0.3mlと微量ではあったが, アクシデントとして取り扱われた. アメリカの文献では空気混入報告例は23%で, 体内に300ml空気が注入すると死亡すると報告されている. 今回の原因は, 確認ミスなのか, 思い込みミス, 手技ミスなのか, 防ぐことができないのか等, その分析と防止対策を検討した. その方法として, SHELモデルを使っての分析, 看護師間での手技の確認, 他施設の業務手順を参考にするためのアンケート調査を行なった. 結果及び考察としては, 原因となる確認, 思い込みはないとは言い切れないが, 看護師間での手技の確認をすることで, 知識技術未熟性, 独善性は解決できたと考える. 手技は最終的に「これでよし」と確認したとしても, 微量な空気混入を防止することは困難である. しかし, 空気混入を最小限するために点滴セット, 延長チューブを温めて使用することでルートに張り付いている気泡は防ぐことができるのではないか考えた. 他施設のアンケート調査結果から業務手順の見直しと看護師間での手技の確認をすることが防止策となると考える. <参考文献>佛坂博正:静脈内空気塞栓の一例. 臨床放射線. Vol.39, No.10, 1994 久志本成樹:空気塞栓. 腎と透析. 1989臨時増刊号 津田僑子:空気栓塞の検討と対策. 臨床麻酔. Vol.8, No.12, 1984.12
ISSN:0468-2513