生体腎移植患者の腹部大動脈人工血管置換術に対してfemoral A-V bypassを用いて移植腎を温存し得た1例

「要旨」 生体腎移植患者の腹部大動脈瘤人工血管置換術に対して大腿動静脈バイパス(femoral A-V bypass)を用いて移植腎を温存し得た1例を報告する. 生体腎移植後, 腎動脈分岐下に腹部大動脈瘤(最大径46mm)を認め手術に至った. 動脈遮断による移植腎の阻血に対しての保護法としてfemoral A-V bypassを用い, 右足背動脈圧50~60mmHgを指標に補助流量400~500mL/minで循環を管理した. femoral A-V bypass開始直後の尿量低下に対し, 鉗子操作による拍動流を発生させ尿量の改善を図った. 大動脈遮断時間55分, 体外循環時間43分, 体外循環...

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Published in体外循環技術 Vol. 41; no. 1; pp. 55 - 59
Main Authors 日比亨, 瓦谷義隆, 青田恭朋, 村山嘉史, 三上直宣, 野口康久, 小畑貴司, 四方裕夫, 秋田利明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.03.2014
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」 生体腎移植患者の腹部大動脈瘤人工血管置換術に対して大腿動静脈バイパス(femoral A-V bypass)を用いて移植腎を温存し得た1例を報告する. 生体腎移植後, 腎動脈分岐下に腹部大動脈瘤(最大径46mm)を認め手術に至った. 動脈遮断による移植腎の阻血に対しての保護法としてfemoral A-V bypassを用い, 右足背動脈圧50~60mmHgを指標に補助流量400~500mL/minで循環を管理した. femoral A-V bypass開始直後の尿量低下に対し, 鉗子操作による拍動流を発生させ尿量の改善を図った. 大動脈遮断時間55分, 体外循環時間43分, 体外循環中尿量60mLであった. 術前の腎機能はSCr 1.98mg/dL, BUN 32mg/dLであったが, 透析を施行することなく術後10日目にSCr 1.76mg/dL, BUN 32mg/dLと良好な成績を得ることができた.
ISSN:0912-2664