心雑音漸増追加方式による心臓聴診教育の試み

「抄録」心臓の聴診技術の習得に関し, 心雑音漸増追加方式の効果と心臓聴診教育に応用するに際しての問題点について検討した. 対象は医学部4年次の学生で, 心雑音を漸増した場合の所見のわかりやすさについて検討を行った. 心雑音漸増追加により, 約半数が聴き取りやすさの得点が上昇したが, 約40%は聴き取りやすさの得点が変わらず, 残り約10%は逆に聴き取りやすさの得点が低下した. 心雑音漸増追加方式をより有効に活用するためには, 心雑音の出力の方法と漸増のスピードについて検討する必要があると考えられた. 「背景と目的」心臓聴診技法は基本的診察手技として欠かせないものである. 心臓の聴診技術の習得に...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 44; no. 1; pp. 33 - 36
Main Authors 信岡祐彦, 瀧宮顕彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 聖マリアンナ医科大学医学会 01.05.2016
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ISSN0387-2289

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Summary:「抄録」心臓の聴診技術の習得に関し, 心雑音漸増追加方式の効果と心臓聴診教育に応用するに際しての問題点について検討した. 対象は医学部4年次の学生で, 心雑音を漸増した場合の所見のわかりやすさについて検討を行った. 心雑音漸増追加により, 約半数が聴き取りやすさの得点が上昇したが, 約40%は聴き取りやすさの得点が変わらず, 残り約10%は逆に聴き取りやすさの得点が低下した. 心雑音漸増追加方式をより有効に活用するためには, 心雑音の出力の方法と漸増のスピードについて検討する必要があると考えられた. 「背景と目的」心臓聴診技法は基本的診察手技として欠かせないものである. 心臓の聴診技術の習得に関しては, 患者の心音を直接聴診する他に, 心音や心雑音をCDやUSBメモリなどの媒体に録音し再生する, あるいは教育用のシミュレータを使用する, などいくつかの手法があるが, 聴覚の特性を利用する方法を応用すれば, 既存の手法で繰り返し聴診するよりもはるかに効率的に訓練することができ, より高い教育効果が得られると考えられる.
ISSN:0387-2289