IMPELLA補助下における人工心肺を用いた心臓手術の経験

「要旨」IMPELLAの臨床使用における有用性は多く報告されているが, IMPELLA補助下による人工心肺の管理法については未だ十分な議論がなされていない. 今回, IMPELLA補助下に人工心肺を3症例経験し, 全症例でIMPELLAを術後離脱したが1症例で脳梗塞を合併した. 大動脈遮断解除前には, IMPELLAのP-0とP-1を繰り返し, ルートベントからIMPELLAポンプ内部のエア抜きを十分に施行した. IMPELLAポンプ内部は緻密な構造であり, 丁寧なエア抜きが求められる. 心拍動下の際には, 大動脈弁にIMPELLAが留置されていることから, IMPELLAに起因する大動脈弁逆...

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Published in体外循環技術 Vol. 49; no. 2; pp. 112 - 116
Main Authors 堀雅弥, 後藤武, 紺野幸哉, 山田大貴, 鈴木裕樹, 小笠原順子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.06.2022
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」IMPELLAの臨床使用における有用性は多く報告されているが, IMPELLA補助下による人工心肺の管理法については未だ十分な議論がなされていない. 今回, IMPELLA補助下に人工心肺を3症例経験し, 全症例でIMPELLAを術後離脱したが1症例で脳梗塞を合併した. 大動脈遮断解除前には, IMPELLAのP-0とP-1を繰り返し, ルートベントからIMPELLAポンプ内部のエア抜きを十分に施行した. IMPELLAポンプ内部は緻密な構造であり, 丁寧なエア抜きが求められる. 心拍動下の際には, 大動脈弁にIMPELLAが留置されていることから, IMPELLAに起因する大動脈弁逆流が発生し得る. 左室の過伸展防止のため, IMPELLAによるLV unloadingもしくはベントによる減圧が必要である. また, 手術手技に伴い心臓の脱転や左室を虚脱させる際には, IMPELLAが左室構造物へ接触し左室を損傷させる危険性があることから, 経食道心エコーでIMPELLAの左室構造への接触の有無や左室容量を確認する必要がある. IMPELLA補助下で人工心肺を行う際は, エア抜きや大動脈弁逆流, 左室損傷などのIMPELLA特有の問題点を考慮する必要がある.
ISSN:0912-2664