感染性大動脈瘤のハイブリッド手術後に大動脈食道瘻を形成した1剖検例

《Abstract》90歳台男性, 感染性大動脈瘤切迫破裂例に対してハイブリッド手術が施行されたが, 1カ月後に再度の発熱と炎症反応の上昇が出現した. 造影CT検査でステントグラフト(SG)edgeの下行大動脈に新たな解離を認めた. 血液培養では大腸菌や表在ブドウ球菌が検出されたことからSG感染も疑われたが年齢などから抗菌薬による保存的治療を選択し, 軽快後独歩退院した. その後発熱なく経過していたが瘤径は拡大傾向にあり, 3年後に肺炎で入院した. 入院中に背部痛が出現し, 造影CT検査でタイプIII bエンドリーク(fabric fracture)所見と, 瘤内のガス像を認め, 血液培養でM...

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Published in心臓 Vol. 57; no. 4; pp. 382 - 393
Main Authors 馬渡耕史, 常森将史, 春田弘昭, 坂口美也子, 川口大輔, 那須拓馬, 川井田啓介, 豊川健二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.04.2025
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ISSN0586-4488

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Summary:《Abstract》90歳台男性, 感染性大動脈瘤切迫破裂例に対してハイブリッド手術が施行されたが, 1カ月後に再度の発熱と炎症反応の上昇が出現した. 造影CT検査でステントグラフト(SG)edgeの下行大動脈に新たな解離を認めた. 血液培養では大腸菌や表在ブドウ球菌が検出されたことからSG感染も疑われたが年齢などから抗菌薬による保存的治療を選択し, 軽快後独歩退院した. その後発熱なく経過していたが瘤径は拡大傾向にあり, 3年後に肺炎で入院した. 入院中に背部痛が出現し, 造影CT検査でタイプIII bエンドリーク(fabric fracture)所見と, 瘤内のガス像を認め, 血液培養でMRSAが検出されたことから感染性大動脈瘤の悪化と診断した. CT撮像後に新鮮な血餅を嘔吐したため緊急内視鏡検査を施行し, 動脈瘤による食道圧排と大動脈食道瘻(aorto-esophageal fistula)の所見を認めた. 病状と年齢から再手術には至らなかった. 当初のハイブリッド手術で一時的に改善傾向を認めたが, 3年の経過で感染がコントロールできず, 瘤の拡大に伴い大動脈食道瘻が生じていたことを剖検で確認できた.
ISSN:0586-4488