ウシ永久歯歯胚の微量金属に関する研究

「緒言」小児は, 発育環境の影響を強く受けながら形態的および機能的に変化し, 成長発育し続けている. そこで, 小児に対する医療は, 精神的, 肉体的な発育を動的に把握し, 将来の発育状態を予測するとともに, 健全なる小児の発育のために良好な生活環境を提供することが必要となる. 歯の形成は, 一般に成長変化の著しい胎生期から小児期全般を通じて行われ, 母体の差, 以外に出生後および萌出後の環境因子が歯胚の成長発育に大きく影響すると考えられている. したがって小児の口腔を管理するためには, 発育過程の諸因子を含めて考えなければならない. 著者らは, 小児の発育に関与し, かつ歯質中にも存在し,...

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Published in神奈川歯学 Vol. 24; no. 1; pp. 24 - 37
Main Authors 浜田作光, 檜垣旺夫, 斎藤滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.06.1989
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」小児は, 発育環境の影響を強く受けながら形態的および機能的に変化し, 成長発育し続けている. そこで, 小児に対する医療は, 精神的, 肉体的な発育を動的に把握し, 将来の発育状態を予測するとともに, 健全なる小児の発育のために良好な生活環境を提供することが必要となる. 歯の形成は, 一般に成長変化の著しい胎生期から小児期全般を通じて行われ, 母体の差, 以外に出生後および萌出後の環境因子が歯胚の成長発育に大きく影響すると考えられている. したがって小児の口腔を管理するためには, 発育過程の諸因子を含めて考えなければならない. 著者らは, 小児の発育に関与し, かつ歯質中にも存在し, また環境汚染の指標の一部としても用いられている微量金属に注目し, 特にCd, Zn, PbおよびCuと歯の発育過程との関連性を明らかにすることによって, 歯質解明の手がかりを得るべく一連の研究を進めてきた. すなわち, 永島は, 歯種別に乳歯歯質のエナメル質および象牙質中の微量金属を分析した結果, 微量金属の取り込みは, 歯種, 金属種によって相違があることを明らかにし, 歯種差から歯質への取り込みが歯質形成時期により異なることを示唆した.
ISSN:0454-8302