左房回旋枝の冠動脈形成術により, ペースメーカを回避できた運動誘発性房室ブロックの1例

《Abstract》症例は71歳男性. 主訴は労作時呼吸困難. 2014年1月から労作時呼吸困難, 胸部不快感を認めたが放置していた. 2015年2月から, 症状頻回になったため, 他院で運動負荷試験を施行したところ, 臨床症状と一致して, ST変化を伴う完全房室ブロックを認め, 精査加療目的で当院搬送された. 虚血性心疾患を疑い緊急で冠動脈造影を施行したところ, 右冠動脈, 左冠動脈前下行枝, 左冠動脈回旋枝本幹に有意狭窄は認めなかったが, 左冠動脈回旋枝分枝である小血管サイズの左房回旋枝入口部に99%狭窄を認めた. アセチルコリン負荷試験は右冠動脈, 左冠動脈ともに攣縮所見はなく, 胸部症...

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Published in心臓 Vol. 49; no. 9; pp. 951 - 957
Main Authors 大石庸介, 小貫龍也, 小崎遼太, 関本輝雄, 越智明徳, 辻田裕昭, 塚本茂人, 浅野拓, 濱嵜裕司, 小林洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.09.2017
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ISSN0586-4488

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Summary:《Abstract》症例は71歳男性. 主訴は労作時呼吸困難. 2014年1月から労作時呼吸困難, 胸部不快感を認めたが放置していた. 2015年2月から, 症状頻回になったため, 他院で運動負荷試験を施行したところ, 臨床症状と一致して, ST変化を伴う完全房室ブロックを認め, 精査加療目的で当院搬送された. 虚血性心疾患を疑い緊急で冠動脈造影を施行したところ, 右冠動脈, 左冠動脈前下行枝, 左冠動脈回旋枝本幹に有意狭窄は認めなかったが, 左冠動脈回旋枝分枝である小血管サイズの左房回旋枝入口部に99%狭窄を認めた. アセチルコリン負荷試験は右冠動脈, 左冠動脈ともに攣縮所見はなく, 胸部症状, 心電図変化も認めなかった. ペースメーカの植え込みが検討されたが, 運動負荷試験中に虚血性変化を伴う房室ブロックを認めたことから, 第7病日左房回旋枝入口部病変に対し, 冠動脈形成術を施行した. 左房回旋枝入口部からステント留置術を行い良好に拡張し, 血流回復を認めた. 術後の運動負荷試験, 24時間心電図で, 房室ブロックは認めず, 退院後の臨床症状は完全に消失した. 左房回旋枝の冠動脈形成術により, ペースメーカを回避できた運動誘発性房室ブロックの1例を経験した.
ISSN:0586-4488