クエン酸第二鉄水和物を用いた経口鉄剤不耐容の鉄欠乏性貧血患者を対象としたRIO-SWITCH研究の事後解析 : 治療継続患者および治療再開患者におけるクエン酸第二鉄水和物の影響
「要旨」鉄欠乏性貧血(IDA)は最も多くみられる貧血である. 経口鉄剤は悪心・嘔吐など消化器系副作用の頻度が高く, 服薬アドヒアランス低下や治療中断が課題である. また貧血や鉄剤の副作用によりQOLが低下する. われわれは既存の経口鉄剤不耐容のIDA患者でクエン酸第二鉄水和物錠(FC)への切り替えの有用性をすでに報告したが(RIO-SWITCH研究), 切り替え時期別の検討は行っていない. 本解析ではRIO-SWITCH研究の結果を用いて治療中の切り替え患者(治療継続群: n=5), 治療中断後の切り替え患者(治療再開群: n=16)のQOLや鉄動態を後方視的に解析した. 鉄剤服用時の最もひど...
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Published in | 新薬と臨牀 Vol. 74; no. 6; pp. 507 - 519 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
医薬情報研究所
10.06.2025
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ISSN | 0559-8672 |
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Summary: | 「要旨」鉄欠乏性貧血(IDA)は最も多くみられる貧血である. 経口鉄剤は悪心・嘔吐など消化器系副作用の頻度が高く, 服薬アドヒアランス低下や治療中断が課題である. また貧血や鉄剤の副作用によりQOLが低下する. われわれは既存の経口鉄剤不耐容のIDA患者でクエン酸第二鉄水和物錠(FC)への切り替えの有用性をすでに報告したが(RIO-SWITCH研究), 切り替え時期別の検討は行っていない. 本解析ではRIO-SWITCH研究の結果を用いて治療中の切り替え患者(治療継続群: n=5), 治療中断後の切り替え患者(治療再開群: n=16)のQOLや鉄動態を後方視的に解析した. 鉄剤服用時の最もひどかった時の悪心の程度(中央値)は治療継続群で11段階の評価で6.0から3.0へ, 治療再開群で5.5から1.0へ低下した. FC治療前のSF-36v2スコアは治療継続群で治療再開群より低く, 身体機能, 体の痛み, 全体的健康感で特に低値だったがFC治療後は両群で改善した. ヘモグロビン(Hb)値は両群で上昇した. 血清フェリチン値は治療再開群では十分に改善しなかった. 以上から, 薬剤切り替えにより悪心の低減および貧血が改善し, QOL向上との関連が示唆された. 一般的に貯蔵鉄量は貧血改善の後に回復するため, IDA治療においてはHb値に加え血清フェリチン値による鉄欠乏のモニタリングが望ましい. |
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ISSN: | 0559-8672 |