ミトコンドリアへのカルシウム取り込み亢進による心室不整脈の抑制
細胞内カルシウム(Ca)濃度の上昇は, 心不全に関連する心室不整脈(VA)の原因となるが, ミトコンドリア(mit)へのCaの取り込みが, 心不全患者のVAに与える影響は明らかにされていない. そこで, mitへのCa取り込みの促進が, 細胞内Ca濃度とVAに与える影響を検討した. 心筋梗塞後心不全モデルマウスを使用し, ケンペロール(Kaemp)によってmitへのCaの取り込みを促進した. 蛍光顕微鏡でCaウェーブを, 共焦点レーザー顕微鏡でCaスパークを, 穿孔パッチクランプ法で活動電位を観察した. VAの誘発性は, ランゲンドルフ灌流心と浸透圧ポンプでKaempを投与したマウスで評価した...
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Published in | 心電図 Vol. 44; no. 4; pp. 231 - 240 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本不整脈心電学会
20.12.2024
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ISSN | 0285-1660 |
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Summary: | 細胞内カルシウム(Ca)濃度の上昇は, 心不全に関連する心室不整脈(VA)の原因となるが, ミトコンドリア(mit)へのCaの取り込みが, 心不全患者のVAに与える影響は明らかにされていない. そこで, mitへのCa取り込みの促進が, 細胞内Ca濃度とVAに与える影響を検討した. 心筋梗塞後心不全モデルマウスを使用し, ケンペロール(Kaemp)によってmitへのCaの取り込みを促進した. 蛍光顕微鏡でCaウェーブを, 共焦点レーザー顕微鏡でCaスパークを, 穿孔パッチクランプ法で活動電位を観察した. VAの誘発性は, ランゲンドルフ灌流心と浸透圧ポンプでKaempを投与したマウスで評価した. Kaempは, Caウェーブ, Caスパーク, 活動電位の回数を減少させ, VAの発生を抑制した. Kaempは, 細胞内Ca濃度の上昇を代償し, VAを抑制する可能性が示唆された. MitへのCa取り込み能を促進する治療戦略は心不全におけるVAへの新たな選択肢になることが期待される. |
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ISSN: | 0285-1660 |