開咬を伴う骨格性下顎前突症例に対する下顎枝矢状分割術後の長期安定性について
「緒言」 開咬を伴う骨格性下顎前突症例は, 顎顔面頭蓋の前後的不調和に加え垂直的な不調和を伴うことから, 歯科矯正単独での治療が難しく, 術後の安定性を考慮し, 外科的矯正治療を適用する症例も多い. しかし, 外科的矯正治療により, 動的治療終了時に良好な咬合状態が獲得されたとしても, 術後経過に伴って咬合状態の悪化を認める症例もあり, 長期的な安定を図るのが難しいといわれている1-4). 外科的矯正治療を適用した開咬症例における術後の顎態変化についてもこれまでに多くの報告がされている1-12). 川元ら4)は開咬を伴う骨格性下顎前突症例における術後骨格性変化として, 下顎前方部のわずかな下方...
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| Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 22; no. 4; pp. 255 - 263 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本顎変形症学会
15.12.2012
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| ISSN | 0916-7048 |
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| Summary: | 「緒言」 開咬を伴う骨格性下顎前突症例は, 顎顔面頭蓋の前後的不調和に加え垂直的な不調和を伴うことから, 歯科矯正単独での治療が難しく, 術後の安定性を考慮し, 外科的矯正治療を適用する症例も多い. しかし, 外科的矯正治療により, 動的治療終了時に良好な咬合状態が獲得されたとしても, 術後経過に伴って咬合状態の悪化を認める症例もあり, 長期的な安定を図るのが難しいといわれている1-4). 外科的矯正治療を適用した開咬症例における術後の顎態変化についてもこれまでに多くの報告がされている1-12). 川元ら4)は開咬を伴う骨格性下顎前突症例における術後骨格性変化として, 下顎前方部のわずかな下方への変位とそれに伴うoverbite(OB)の減少を報告している. 福井ら13)は, 術後のオトガイ部の前方移動と上下顎前歯部歯軸が変化し, 安定しないことを述べている. また篠倉ら2)は, 一部の症例で下顎前歯の舌側傾斜とそれに伴う下顎骨の上方回転を認めたと報告している. |
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| ISSN: | 0916-7048 |