変形性膝関節症に対する歩容改善のための理学療法アプローチ~lateral thrustと股関節・体幹機能に着目して
【はじめに】変形性膝関節症(膝OA)の理学療法では, 従来からSLR練習が中心に行われてきた. 今回, 歩行中の1ateral thrust(LT)を重視して, 膝関節への力学的ストレス軽減を図るアプローチにて, 歩容改善を得た膝OAの症例を紹介する. 【評価】症例は, 平成20年7月に, 右膝OA(K/L分類III)の診断を受けた右肩関節周囲炎と腰痛の既往歴をもつ70歳代女性であった. ROMは右膝関節伸展-5°, 歩行では立脚期で右膝関節は軽度屈曲位をとり, 胸椎の後彎, 上部体幹は大きく右側屈し, 股関節は外転・外旋, 下腿は過外旋・外側傾斜の増大によるLTと右膝内側痛を認めた. 【アプ...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 4; p. 799 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.2011
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ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 【はじめに】変形性膝関節症(膝OA)の理学療法では, 従来からSLR練習が中心に行われてきた. 今回, 歩行中の1ateral thrust(LT)を重視して, 膝関節への力学的ストレス軽減を図るアプローチにて, 歩容改善を得た膝OAの症例を紹介する. 【評価】症例は, 平成20年7月に, 右膝OA(K/L分類III)の診断を受けた右肩関節周囲炎と腰痛の既往歴をもつ70歳代女性であった. ROMは右膝関節伸展-5°, 歩行では立脚期で右膝関節は軽度屈曲位をとり, 胸椎の後彎, 上部体幹は大きく右側屈し, 股関節は外転・外旋, 下腿は過外旋・外側傾斜の増大によるLTと右膝内側痛を認めた. 【アプローチ・結果】既往の影響による肩甲帯・胸郭の柔軟性低下, 股関節と体幹筋の機能低下を認めたため, 膝関節機能改善に加えて股関節・体幹機能改善練習を実施した. その結果, 立脚期の右膝屈曲と胸椎の後彎は改善され, 上部体幹は正中位での骨盤側方移動が可能となった. さらにLTは軽減し疼痛は消失した. 【まとめ】膝OAの理学療法では, 歩行立脚時のLTの原因を究明し, 膝関節への力学的ストレス軽減を図る歩容改善のアプローチが有効である. |
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ISSN: | 0037-1033 |