(2) 胃癌治療の適正化

そもそも癌のリンパ節郭清の歴史は乳癌に始まっている. その後, 頭頸部癌の領域で行われるようになり, 消化器癌領域では直腸癌に対して施行されていた. 乳癌や直腸癌に比較して胃癌のリンパ節郭清が遅れた理由は, 胃癌の転移が容易に重要な血管や臓器周囲に起こり, 当時は出血を恐れるあまり, リンパ節郭清が回避されたと梶谷鐶は述べている. 胃癌外科の歴史はBillrothに始まる. その弟子であるMikuliczは19世紀末の時点で胃癌の進展様式を(1)胃壁内での連続進展, (2)胃壁外のリンパ管・リンパ節を介しての進展, (3)漿膜癌浸潤からの経腹膜進展, (4)血流に乗っての進展とまとめており,...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 12; no. 4; p. 147
Main Author 太田惠一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 01.10.2016
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ISSN1349-8975

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Summary:そもそも癌のリンパ節郭清の歴史は乳癌に始まっている. その後, 頭頸部癌の領域で行われるようになり, 消化器癌領域では直腸癌に対して施行されていた. 乳癌や直腸癌に比較して胃癌のリンパ節郭清が遅れた理由は, 胃癌の転移が容易に重要な血管や臓器周囲に起こり, 当時は出血を恐れるあまり, リンパ節郭清が回避されたと梶谷鐶は述べている. 胃癌外科の歴史はBillrothに始まる. その弟子であるMikuliczは19世紀末の時点で胃癌の進展様式を(1)胃壁内での連続進展, (2)胃壁外のリンパ管・リンパ節を介しての進展, (3)漿膜癌浸潤からの経腹膜進展, (4)血流に乗っての進展とまとめており, 現時点でもその記載に全く問題なく, その慧眼には感心させられる.
ISSN:1349-8975