側頭部開頭術後陥没変形に対するリン酸カルシウム骨ペーストによるAugmentation

目的:側頭部開頭手術時に側頭筋にダメージを受けると, 側頭筋は萎縮し前額部から側頭部にかけて陥没状の外貌を呈する. わずかな陥凹でも光線の具合によって陰影は強調され患者にとっては受け入れ難い変形となる. 従来, 真皮脂肪移植などによって行われてきたAugmentationによる修正を, リン酸カルシウム骨ペースト(バイオペックスTM, 以下CPP)にて行った. 方法:側頭部脳腫瘍摘出後時に側頭部~頭頂部にわたる切開を受け, 前頭結節~側頭部に陥凹変形をきたした症例に対して, 全麻下に萎縮した側頭筋下に側頭骨上へ, 粘土状としたCPPをOn Layした. 結果:側頭骨上に移植されたCPPは, 望...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 600
Main Authors 野本俊一, 秋元正宇, 黒田周一, 百束比古
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:側頭部開頭手術時に側頭筋にダメージを受けると, 側頭筋は萎縮し前額部から側頭部にかけて陥没状の外貌を呈する. わずかな陥凹でも光線の具合によって陰影は強調され患者にとっては受け入れ難い変形となる. 従来, 真皮脂肪移植などによって行われてきたAugmentationによる修正を, リン酸カルシウム骨ペースト(バイオペックスTM, 以下CPP)にて行った. 方法:側頭部脳腫瘍摘出後時に側頭部~頭頂部にわたる切開を受け, 前頭結節~側頭部に陥凹変形をきたした症例に対して, 全麻下に萎縮した側頭筋下に側頭骨上へ, 粘土状としたCPPをOn Layした. 結果:側頭骨上に移植されたCPPは, 望ましい形態を保っている. 骨の誘導は明らかではない. 結論:Augmentationに異物を用いるか自家組織を用いるかは議論の多いところである. 安全性を考えれば自家組織が第一に選択されるべきではあるが, 整容面での改善に自家組織の採取に伴う新たな創に対する患者自身の身体的, 精神的負担は少なくないと考える. CPPも異物ではあるが, 基本的には生体内に存在する物質であり, 骨の誘導による置換も期待できる. 本来, 軟部組織の欠損は軟部組織をもって修正すべきものではあるが, 骨組織のAugmentationが許容されるならば, 形状の自由度, 組織量の調節性からも非常に有用な素材と考えられる.
ISSN:1345-4676