回復遅延型Guillain-Barre症候群の機能予後
【目的】急性炎症性脱髄性多発性根神経炎, いわゆるギラン・バレー症候群(以下, GBS)は, 一般的に予後良好な疾患であると考えられている. しかし, 中には回復の遅延する症例も決して少なくはなく, 5~10~20%の症例では恒久的な神経障害を残すとされている. しかし, その長期機能的予後に関する報告はほとんどなく, このような回復遅延例のゴール設定においては苦慮することも多かった. そこで今回は, 特に回復遅延例の機能回復経過, 最終機能レベルなどについて報告する. 【対象】1976~1992年に, 当院でリハビリテーションを施行したGBS 37症例を対象とした. 男性24例, 女性13例...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 30; no. 12; p. 972 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.12.1993
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】急性炎症性脱髄性多発性根神経炎, いわゆるギラン・バレー症候群(以下, GBS)は, 一般的に予後良好な疾患であると考えられている. しかし, 中には回復の遅延する症例も決して少なくはなく, 5~10~20%の症例では恒久的な神経障害を残すとされている. しかし, その長期機能的予後に関する報告はほとんどなく, このような回復遅延例のゴール設定においては苦慮することも多かった. そこで今回は, 特に回復遅延例の機能回復経過, 最終機能レベルなどについて報告する. 【対象】1976~1992年に, 当院でリハビリテーションを施行したGBS 37症例を対象とした. 男性24例, 女性13例, 平均34.9歳(3~78歳)であり, これらを発症後6カ月以内に順調な回復経過を示した早期回復群21例, 発症後1年以上経過しても著明な筋力低下の残存した回復遅延群10例およびその中間群6例の3群に分けて検討した. 【結果】早期回復群は, 平均31.5歳(男14, 女7), 中間群は, 平均41.5歳(男2, 女4), 回復遅延群は, 平均30.3歳(男8, 女2)であり, 発症年齢では差がなかった. しかし, 遅延群でより早期にピークに達し神経症状, 合併症とも高頻度で重度であった. 回復は, 近位筋の回復が遠位筋に比し良好で, 上肢筋の回復の方が良好であった. 遅延群では, 肩関節痛, 腰痛などが問題となる場合が多く, また, 回復遷延に対する不安や焦りも強く, 心理的サポートを十分に行っていく必要があった. 最終調査時点(平均9.2年)で, 4例に明らかな筋力低下が残存しAFOを要するものの, 全例歩行, ADLは自立し, いまだ入院加療中の2例を除き復職, 復学していた. 【結語】回復遅延群の経過は一様ではなく, 長期にわたり徐々に回復する. ゴール決定は慎重に考慮せねばならぬが, 今回の検討では, 神経症状の残存した例でも全例独歩可能でADLは自立し, 長期予後は比較的良好であった. |
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ISSN: | 0034-351X |