カプセル剤の外観がもたらす調剤薬鑑査への影響

「序論」 服薬アドヒアランスを向上させる一つの手段として一包化調剤がある. 特に複数の薬剤を服用する患者にとって利便性が高く, 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015では飲み忘れを防ぐための支援ツールとして示されているほか, 介護者が服薬管理する場合にも手間を省く意味で有効であるとされている. さらに, 高齢者では1人あたりの服用薬剤数が多く, 多剤併用による薬物有害事象のリスクの増加や服薬過誤, アドヒアランス低下等が問題となっている. 実際, 全国の保険薬局における処方調査では, 75歳以上の約1/4が7種類以上, 4割が5種類以上の薬剤を処方されている. また, 6剤以上の薬を服用す...

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Published in医薬品相互作用研究 Vol. 48; no. 2; pp. 56 - 63
Main Authors 辻元莉紗, 小野寺隆芳, 丸宗孝, 後藤一美, 工藤賢三, 小林江梨子, 溝上陽子, 佐藤信範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 医薬品相互作用研究会 30.09.2024
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ISSN0385-5015

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Summary:「序論」 服薬アドヒアランスを向上させる一つの手段として一包化調剤がある. 特に複数の薬剤を服用する患者にとって利便性が高く, 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015では飲み忘れを防ぐための支援ツールとして示されているほか, 介護者が服薬管理する場合にも手間を省く意味で有効であるとされている. さらに, 高齢者では1人あたりの服用薬剤数が多く, 多剤併用による薬物有害事象のリスクの増加や服薬過誤, アドヒアランス低下等が問題となっている. 実際, 全国の保険薬局における処方調査では, 75歳以上の約1/4が7種類以上, 4割が5種類以上の薬剤を処方されている. また, 6剤以上の薬を服用する高齢入院患者では薬物有害事象が特に多くなると報告されている. 高齢患者の一包化調剤では一包あたりの薬剤数が多くなると予想できるため, 調剤過誤および薬物相互作用等に起因した薬物有害事象を防ぐためにも, 正確かつ迅速な調剤薬鑑査が求められる.
ISSN:0385-5015