赤芽球癆を合併したT-cell large granular lymphocyte leukemiaの一例

「抄録」 T-cell large granular lymphocyte leukemia は長期(6か月以上)にわたる末梢血中の著明な大顆粒リンパ球(large granular lymphocyte;以下, LGL)のモノクローナルな増加によって特徴づけられる疾患で, しばしば赤芽球癆を伴うことが知られている. 今回, 我々はHCV陽性肝硬変患者に赤芽球癆を合併したT-LGLの1例を経験した. 末梢血および骨髄塗抹標本では細胞質内に微細なアズール顆粒を有し, 核異型を示すリンパ球の増加がみられ, 末梢血および骨髄のフローサイトメトリーおよび骨髄吸引クロット標本の免疫組織化学で, CD3,...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 41; no. 1; pp. 19 - 26
Main Authors 藤原英世, 薄聖子, 近藤敏範, 関口和, 石田文宏, 岡大五, 是澤里紗, 和田秀穂, 杉原尚, 定平吉都
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 01.06.2015
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ISSN0386-5924

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Summary:「抄録」 T-cell large granular lymphocyte leukemia は長期(6か月以上)にわたる末梢血中の著明な大顆粒リンパ球(large granular lymphocyte;以下, LGL)のモノクローナルな増加によって特徴づけられる疾患で, しばしば赤芽球癆を伴うことが知られている. 今回, 我々はHCV陽性肝硬変患者に赤芽球癆を合併したT-LGLの1例を経験した. 末梢血および骨髄塗抹標本では細胞質内に微細なアズール顆粒を有し, 核異型を示すリンパ球の増加がみられ, 末梢血および骨髄のフローサイトメトリーおよび骨髄吸引クロット標本の免疫組織化学で, CD3, CD8, CD57陽性リンパ球の増加が確認された. 骨髄細胞のPCRではTCRβの再構成を認めず, TCRγおよびTCRδの再構成がみられた. またプレドニゾロン治療にてCD57陽性リンパ球の減少および赤芽球造血の回復が確認されたことから, 赤芽球癆を合併したγδT-LGLと診断した. 最近, T-LGLにはSTAT3あるいはSTAT5bのSHドメインの遺伝子変異が高頻度にみられることが報告されているが, 本症例においては, これらの遺伝子変異は確認できなかった.
ISSN:0386-5924