膝関節以下病変による重症虚血肢に対する治療戦略 - 膝下CLIの生命予後を規定する因子とは
「要旨」 : 【背景】膝下重症下肢虚血に対する初回治療としてEVTを行うかバイパスを行うかは議論が分かれる. 【目的】初回治療として下腿病変に対するEVTを行った群 (E群) と下腿足関節バイパスを行った群 (B群) の短期中期成績を検討する. さらに生命予後に関与する危険因子を検討し層別化を行う. 【対象と方法】対象は2006年11月~2012年7月に重症虚血肢に対し下腿足関節領域の血行再建を行った全症例 (150例169肢) とした. 初回治療によりE群 (102例118肢) とB群 (48例51肢) に分け検討した. 【結果】平均観察期間は15カ月であった. 術前背景 (年齢・性別・高血...
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Published in | 日本血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 4; pp. 766 - 773 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本血管外科学会
25.06.2014
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ISSN | 0918-6778 |
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Summary: | 「要旨」 : 【背景】膝下重症下肢虚血に対する初回治療としてEVTを行うかバイパスを行うかは議論が分かれる. 【目的】初回治療として下腿病変に対するEVTを行った群 (E群) と下腿足関節バイパスを行った群 (B群) の短期中期成績を検討する. さらに生命予後に関与する危険因子を検討し層別化を行う. 【対象と方法】対象は2006年11月~2012年7月に重症虚血肢に対し下腿足関節領域の血行再建を行った全症例 (150例169肢) とした. 初回治療によりE群 (102例118肢) とB群 (48例51肢) に分け検討した. 【結果】平均観察期間は15カ月であった. 術前背景 (年齢・性別・高血圧・糖尿病・虚血性心疾患・脳血管疾患・透析・心不全) は2群間に有意な差を認めなかった. 術後30日成績は手術死亡E群3.9%/B群0%, 大切断E群5.9%/B群3.9%であった. 短期中期成績 (1年・3年) は非大切断生存E群71.7%・41.6%/B群79.5%・65.4%, 生存率E群73.5%・55.3%/B群83.9%・57.6%, 救肢率E群88.8%・83.2%/B群91.0%・80.1%で両群間に有意差を認めなかった. 多変量解析にて生存率に関与した因子は高齢 (81歳以上) , 虚血性心疾患合併・慢性心不全合併および非歩行であった. 【結論】膝下病変に対するEVTは一期的自家静脈バイパスに適さないと考えられる症例に対して有用性がある. 膝下重症下肢虚血患者における遠隔期死亡の独立した危険因子は高齢・虚血性心疾患合併・慢性心不全合併・非歩行であった. |
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ISSN: | 0918-6778 |