内視鏡的に切除した隆起型十二指腸粘膜内癌の一例

十二指腸癌は, 胃癌に比し稀な消化管腫瘍であるが, 近年の上部消化管内視鏡検査(EGD)の一般化に伴い, 徐々にその報告が増加しつつある. 症例は82歳女性. スクリーニング目的の近医EGDにて, 上十二指腸角に, 径約1cmの発赤調亜有茎性隆起を指摘された. 生検Group5にて, 十二指腸癌の診断で, 精査加療のため当院紹介となった. 超音波内視鏡検査では, 隆起の茎部への明らかな腫瘍浸潤所見は無く, 最終診断・治療目的での内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行った. EMR切片の病理学的最終診断は, 粘膜までの高分化型管状腺癌・脈管侵襲無し・切除断端陰性, であった. 十二指腸癌の転移について...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in山口医学 Vol. 56; no. 6; p. 228
Main Authors 上村弘行, 藤田麻奈美, 柳井秀雄, 谷岡ゆかり, 坂口栄樹, 祐徳浩紀, 村上知之, 宮崎誠司, 大和田祐二, 神田隆, 松田昌子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.12.2007
Online AccessGet full text
ISSN0513-1731

Cover

More Information
Summary:十二指腸癌は, 胃癌に比し稀な消化管腫瘍であるが, 近年の上部消化管内視鏡検査(EGD)の一般化に伴い, 徐々にその報告が増加しつつある. 症例は82歳女性. スクリーニング目的の近医EGDにて, 上十二指腸角に, 径約1cmの発赤調亜有茎性隆起を指摘された. 生検Group5にて, 十二指腸癌の診断で, 精査加療のため当院紹介となった. 超音波内視鏡検査では, 隆起の茎部への明らかな腫瘍浸潤所見は無く, 最終診断・治療目的での内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行った. EMR切片の病理学的最終診断は, 粘膜までの高分化型管状腺癌・脈管侵襲無し・切除断端陰性, であった. 十二指腸癌の転移について未だ多数例での検討は為されていないが, 高分化型粘膜内癌での転移リスクは低いものと考えられる. 本例では, 亜有茎性の形態より, EMRは比較的容易であった.
ISSN:0513-1731