インドシアニングリーン (ICG) 蛍光リンパ管造影検査法の活用 - リンパ浮腫診断のための臨床的研究と, リンパ学研究への応用について

「はじめに」 リンパ浮腫は乳癌や子宮癌, 卵巣癌などの手術の後に四肢の浮腫(むくみ)として出現し, 蜂窩織炎を繰り返しながら次第に皮膚の線維化による硬化や重度の腫脹を呈する病態(象皮病)へと進行し, 患者のクオリティオブライフを極めて悪化させる. 現段階で根治させる手術治療法や, 改善を促す薬物療法は存在しない. リンパ浮腫を診断しうる画像診断法としてはリンパ管シンチグラムというアイソトープを用いた方法が欧米では標準検査法とされているが, 本邦では2018年以降リンパ浮腫の診断検査として, アイソトープの薬価請求に対して社会保険診療報酬支払基金が支払いを認めているものの正式な形での保険収載はな...

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Published inリンパ学 Vol. 46; no. 2; pp. 40 - 45
Main Author 海野直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リンパ学会 31.12.2023
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ISSN0910-4186

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Summary:「はじめに」 リンパ浮腫は乳癌や子宮癌, 卵巣癌などの手術の後に四肢の浮腫(むくみ)として出現し, 蜂窩織炎を繰り返しながら次第に皮膚の線維化による硬化や重度の腫脹を呈する病態(象皮病)へと進行し, 患者のクオリティオブライフを極めて悪化させる. 現段階で根治させる手術治療法や, 改善を促す薬物療法は存在しない. リンパ浮腫を診断しうる画像診断法としてはリンパ管シンチグラムというアイソトープを用いた方法が欧米では標準検査法とされているが, 本邦では2018年以降リンパ浮腫の診断検査として, アイソトープの薬価請求に対して社会保険診療報酬支払基金が支払いを認めているものの正式な形での保険収載はなされていない. 一方, インドシアニングリーン蛍光リンパ管造影法(ICG fluorescence lymphography以下ICG-FL)は本邦で開発されて臨床応用が進んだ画像診断法である. 今回, 私が行ってきたICG-FLのリンパ学への応用について, 臨床と基礎研究の両面から振り返るとともに将来への展望について述べる.
ISSN:0910-4186