COVID-19ワクチンと甲状腺疾患
「要旨」新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の発症ならびに重症化の予防を目的とし, ワクチン接種が進んでいる. 日本においてはBNT162b2, mRNA-1273, ChAdOx1 nCoV-19/AZD1222が薬事承認され, 2022年2月16日時点で1回以上の接種者は総人口の80.2%, 2回接種完了者は79%, 3回接種完了者は11.1%と報告されている (首相官邸ホームページ : https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html). しかし, ワクチン接種後に起きやすい副反応として, 比較的軽度の症状...
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Published in | 日本甲状腺学会雑誌 Vol. 13; no. 1; pp. 52 - 56 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本甲状腺学会
27.04.2022
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ISSN | 2185-3126 |
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Summary: | 「要旨」新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の発症ならびに重症化の予防を目的とし, ワクチン接種が進んでいる. 日本においてはBNT162b2, mRNA-1273, ChAdOx1 nCoV-19/AZD1222が薬事承認され, 2022年2月16日時点で1回以上の接種者は総人口の80.2%, 2回接種完了者は79%, 3回接種完了者は11.1%と報告されている (首相官邸ホームページ : https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html). しかし, ワクチン接種後に起きやすい副反応として, 比較的軽度の症状が多い一方で, アナフィラキシーといった重篤なものがまれに起こり得る. また, 報告数はきわめて少ないが, ワクチン接種後に亜急性甲状腺炎, Basedow病, 無痛性甲状腺炎を発症した症例も報告されている. その機序としてはアジュバントによるautoimmune/inflammatory syndrome induced by adjuvants (ASIA) の他, ワクチンによって産生された中和抗体が甲状腺ペルオキシダーゼ (TPO) に対して交差反応を起こし, 自己免疫性甲状腺疾患を誘発する可能性が推測されている. 現時点では, COVID-19ワクチン接種と甲状腺疾患発症の因果関係は明らかではないため, 引き続き症例の蓄積が望まれる. |
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ISSN: | 2185-3126 |